自作キーボード温泉街の歩き方

自作キーボードの世界は温泉に例えられます。自作キーボードの温泉街の楽しい歩き方を紹介します。

【遊舎工房ギルドクエスト】GG86のレビューをするよ!

こんにちは。自キ温泉ガイドのサリチル酸です。

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今回は遊舎工房のギルドメンバーとして、新しいキーボードのレビューをしてみようと思います。

遊舎工房ギルドって?

週報ブログの方では何回か紹介していますが、遊舎工房のアンバサダープログラムのことです。

yushakobo.jp

ギルドメンバーは遊舎工房のDiscordサーバに参加している人を対象とし、遊舎工房の取り扱っている各種キーボードのレビューやビルドログ、紹介動画の投稿をして盛り上げていこうという企画です。

興味ある方は是非参加してみましょう。

私もギルドメンバーとして微力ながら協力させていただこうと思い、今回のGG86とDragon Switchのレビュークエストを受けることにしました。

なお、レビュー内のキーボード及びスイッチは遊舎工房の提供を受けています。

写真で見るGG86

まずは軽く写真を見てください。

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ちなみにキーキャップはDROP + MITO DCP PEGASO CUSTOM KEYCAP SETを使用しています。

GG86の特徴まとめ

GG86はプラスチック製のケースのベアボーンキーボード*1です。

色々な特徴があるので、順に説明します。

  • 超豪華な箱とユニークな取扱説明書
  • 半透明プラのケース
  • キックスタンドでチルト角を可変可能
  • シリコンダンパーを多用して内部反響音を低減
  • VIAを使用して簡単にキーマップを変更可能
  • 7uスペースバーを標準採用したキーレイアウト
  • LEDによってめちゃくちゃ光る
  • OLEDによる各種情報表示
  • シリコンキャップによってWinKeyLessにもできる

ちょっとキーボードオタク向けの細かい特徴説明

  • 白のGateronソケットを採用し、透明のケースでも統一感がある
  • ABS製トップケース、ボトムケースの2ピースケース
  • ケースの締結にネジを使わない爪はめ込み構造
  • ポリカーボネート製のスイッチプレート(オプション)に交換可能

超豪華な箱とユニークな取扱説明書

まずは箱です。

これがかなり面白いです。

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これ、キーボードの箱には思えないですよね。

この房を引っ張って開けると、和同開珎のようなコインが房止めとして使われていることにまず驚きました。

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そして出てくる付属品が結構凄い。

パッと見ても何に使うかよくわからないものも多かったです。

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金属製のヘラ
ケースを分解するために使用することを想定しているようだが、使いづらくて使わなかった(後述)

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スタビライザーはガイドレール?があるタイプ
スムーズさはソコソコというところ

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スイッチの代わりに取り付けることでキーを押せなくすることができるパーツ
シリコン製のようで、表面についたホコリは落としづらい

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ブルーのグラデーションがキレイなスイッチプラー

ヘラとかスイッチブロッカーとかしれっと説明を書いてますが、これらの説明はマニュアル等にもなく一時間くらい悩みました。

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「ユーザーマニュアル」の文字に日本語の説明があるように期待するが、なかった

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代わりに拳法っぽい指南のページは有った(19ページ中5ページも!)
違う、そうじゃない
部品の説明をくれ
VIAのJSONファームウェアのダウンロードURLも書いてくれ

結構悩みましたが、英語のレビュー記事を見つけて疑問が解消されました。

techjioblog.com

半透明プラのケース

これは好き嫌いが分かれるかも知れませんが、LEDが約100個(キー数+ケース自体を照らすLEDが10個程度)も実装されていて、それはもうビッカビカに光ります。

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今回のレビュー機のようにケースが透明の場合はプレートの色を通すので、標準装備のFR-4プレートだと白っぽいイメージとなります。

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オプションの透明なポリカーボネート製のスイッチプレートだと全体的に透明感が増します。

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透明なケース自体は良いと思いますが、どのようなキーキャップを合わせるか非常に悩みますね。

キックスタンドでチルト角を可変可能

これって結構普通のキーボードにはある機能なんですが、カスタムキーボードの採用例はかなり少なかったりする機能です。

このキックスタンドを使用することで4.5°のチルトから5.5°のチルトに変更可能です。

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シリコンダンパーを多用して内部反響音を低減

外から見ただけでは分かりづらいので、分解してみました。

隙間という隙間にシリコン製の結構重いシートが挟み込まれ、音が反響する余地をとことん削っています。

これによりスイッチの打鍵音がダイレクトに楽しめます。*2

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トップケース

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スイッチプレート

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スイッチプレートと基板の間に挟む3.5mmのシリコンシート

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基板

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基板とボトムケースの間に挟み込むシリコンシート

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ボトムケース
ウェイトっぽい銀色のプレートは貼っているだけ

VIAを使用して簡単にキーマップを変更可能

VIAというソフトを使うことで簡単にキーマップを変更可能です。

VIAについての説明は以下の記事を参照してください。

salicylic-acid3.hatenablog.com

GG86はVIAに登録されていませんので、接続後に手動でJSONを読み込ませる必要があります。

しかしJSONのダウンロード先等は説明書等には書いてなくてちょっと探すのに手こずったのですが、以下にありました。

gopolar.net

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※キーキャップカラーの設定とかもうちょっとちゃんと作って欲しいと思わなくも無いですが、Remapで使ったときに違和感がある程度で、機能にそんなに支障はないです。

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7uスペースバーを標準採用したキーレイアウト

これって結構珍しいんですよね。

通常104キーキャップセットを購入すると付属するのは6.25uのスペースバーなんですが、このGG86は7uスペースバーを使ったレイアウトのみ対応となっています。

私はこのレイアウトはレトロで好きなのですが、キーキャップ選びは確実に難しくなるので注意が必要です。

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他にもSteppedCapsLock*3、ISOEnter、スプリットLeftShift、スプリットRightShiftに対応しています。

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ただし、StepedCapsLock以外への対応はスタビライザーの取り外しが必要なのでケースの分解が必要です。

LEDによってめちゃくちゃ光る

フルカラーLEDの発光アニメーションは結構多彩なので、気分によって発光パターンを変えたりすることができます。

OLEDによる各種情報表示

カーソルキーの上にOLED*4ディスプレイを備え、各種情報を表示できます。

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私はこのOLEDディスプレイの発振音(聞こえる人には聞こえる高周波音)が結構苦手で、結局オフにしがちなんですが、このGG86はOLEDは筐体内に収められているからか発振音は聞こえませんでした。

これはかなり嬉しかったです。

ちなみに表示内容は標準ファームウェアではCapsLock、NumLock、ScrollLockの状態と20キー分のキーログ、レイヤー情報等を表示します。

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でもまあ、正直あんまり使わないですよね?

キーログもパスワードなどが筒抜けとなってしまうので、セキュリティ上は望ましい機能ではないと思います。

というわけで打鍵に合わせてBongoCatのアニメーションが動くモードも実装されています。

これ凄く良くないですか?

打鍵速度(WPM:Word Per Minutes)も表示可能ですし、CapsLockやScreenLockなどの情報も一応表示してくれます。

このモードは以下のサイトの(VIA_Bongocat)というファームウェアをダウンロードして書き込むことで使用できます。

gopolar.net

ファームウェアの書き込みにはQMK toolboxを使いますが、GG86にリセットスイッチは無いのでVIAでResetキーを設定してリセットする必要があります。

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シリコンキャップによってWinKeyLessにもできる

これは正直あんまり好きな機能では有りません。

私個人の感性ではありますが、トップケースと同色同素材じゃないブロッカーに格好良さを感じないのです。

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このシリコンブロッカーをスイッチを抜いた穴にはめるだけです。(ちょっときついけど押し込みます)

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トップケースと高さはツライチになりますが、ちょっと色的に浮いちゃっている気がしますね。

個人的にはそこを妥協してWinKeyLessにしなくてもいいかな、と思っています。

ゲームをする人など、Windowsキーが邪魔で仕方がないという人には使える機能かもしれません。

ちょっとキーボードオタク向けの細かい特徴説明

細かすぎる点だけど、キーボードオタクが気になりそうな点を解説してみようと思います。

白のGateronソケットを採用し、透明のケースでも統一感がある

透明なケースだと中の部品まで見えてしまいます。

そこでGG86は基板の色に合わせてスイッチソケットも白色のものを採用することで、ボトムビューがスッキリして見えます。

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ちなみにMCUはATmega32u4-MUでした。

ケースの締結にネジを使わない爪はめ込み構造

カスタムキーボードにおいては底面のネジをどの様に隠すかに工夫を凝らしていたり、ちょっとのズレが購入意欲を削いだりするシビアな点なのですが、GG86はそもそもケースの締結にネジを使いません。

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中々マッチョな解決方法ですが、どうやってケースを締結しているかというと、爪と溝です。

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この構造のおかげで分解性はすこぶる悪いです。

せっかくオプションでポリカーボネート製のプレートを購入してもそう簡単には分解できません。

どうやって分解すればいいかというと、付属している謎の金属製のヘラを使えと言いたそうですが、

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これはケースにガッツリ傷を作りますし、非常に使いづらいので結局使いませんでした。

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私はボトムケースを指で押してズラして硬めのプラのカードを差し込み、一つずつ爪を外してケースを外しました。

爪を外しづらい時はカードを差し込みつつスイッチ面から強めに押すと爪が外れます。

この構造、一瞬ちょっと良いかもと思ったのですが、ガッチリ締結できていないからかケースの端を掴んで持ち上げるだけでケースがめちゃくちゃ軋むんですよね。

市販のキーボードもそんなもんといえばそうですが、ちょっと残念なポイントでした。

ポリカーボネート製のスイッチプレート(オプション)に交換可能

非常に柔らかい素材のポリカーボネート製のプレートを使用することで打鍵感や打鍵音を変更可能ですが、シリコンシートが結構硬い素材なのでそこまで柔らかさの変化は感じません。

あくまで透明感を増強可能、くらいに構えておいたほうが良いかと思います。

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GG86の総評

(比較的)安いですし打鍵感や打鍵音もいいテンキーレスサイズのキーボードとしては結構オススメです。

高品質でプレミアム感を突き詰めているカスタムキーボードのような品質を期待するのではなく、手軽な入門用のテンキーレスキーボードが欲しい、OLEDやLEDで遊びたいという人にベストマッチするかと思います。

特にOLEDにBongoCatを表示可能な点は非常に良いですね。

非常に気に入りました。

おまけ:Dragon Switchについて

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このスイッチも提供頂いたので紹介します。

Dragon SwitchはGateron製の弱めのタクタイルスイッチです。

色味は結構鮮やかで格好いいですしグラツキも普通くらいなので、CherryBrown(茶軸)くらいの感触かつ青いスイッチが欲しい人は結構合っているのではないでしょうか。

スペックは以下の通りです。

  • マウント方式:5ピンPCBマウント
  • トラベル:4mm
  • オペレーションフォース:Operating: 63g
  • ボトムアウトフォース:67g

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おわりに

受注から記事公開まで2週間かかってしまいましたが、なんとか公開することができました。

久しぶりのレビュー記事ですが、忖度なく正直に書きました。

この記事が購入検討の一助になってくれれば幸いです。

本記事に対して問い合わせ等あれば遠慮なく私のDiscordまでどうぞ。

salicylic-acid3.hatenablog.com

この記事はGG86で書きました。

*1:後は好みのスイッチとキーキャップをはめるだけの状態で販売されるキーボード

*2:サイレントスイッチなら静かに、クリッキースイッチならクリック音だけを楽しめる

*3:CapsLockキーの右側に段差がついたもの

*4:有機発光ダイオード