自作キーボード温泉街の歩き方

自作キーボードの世界は温泉に例えられます。自作キーボードの温泉街の楽しい歩き方を紹介します。

PCBのマスクとシルクでオリジナルプレートを作ろう!

こんにちは。最近サリチル酸(化学物質)へのサジェスト汚染が気になる方のサリチル酸(温泉ガイド)です。

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久しぶりに少し湯加減高めの記事です。

私の販売するNakedシリーズでやっているようなPCBプレートの作り方から発注の仕方までガイドします。

決して初心者向けの記事ではないのですが、なるべく詳しく書いたのでオリジナルデザインの発注までがんばりましょう!

 

 

 

はじめに

私の設計した自作キーボードのNakedシリーズのコンセプトに、自分でカバープレートなどをデザインできるというコンセプトが有りました。

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ご自分で好きな絵柄のキーボードを作れたら素敵だなということで、今回はその作り方をご紹介させていただきます。

 

前置き

PC環境は個々人により千差万別なので、本記事のとおりにやったからと言って同じ様にできることを保証するものではありません。

また、著作権には特に気をつけて取り組んでください。

 

著作権について

著作権には特に気をつけて製造を行ってください。

PCB製造に関しては第三者に製造を依頼しているので、私的複製は適用されません。

他人の著作物を使用する場合は必ず利用許諾、または該当のライセンスを購入してから製造を依頼してください。

私、サリチル酸は本記事により発生する問題について一切責任を負いませんのでご了承ください。

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この画像はイラストレーターのJacoさんと契約を行い、私に限ってPCB製造を許諾されています。

素材について

私はよく葛飾北斎の絵をPCBデザインに使用していますが、これは著作権が切れた画像であり、陰影がはっきりした絵が多いからです。

※絵画自体に著作権が切れている場合でも、工夫して取られた写真には著作権が発生する場合があります。

※※まあ普通にスキャンされた画像や写真には著作権は発生しないので、普通の画像なら大丈夫です。

今回は以下の画像を使用します。

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用語解説

シルク

塗料による印刷により、白または黒で印刷されます。

本来はPCBの部品などの外形などを指示するものです。

PCB製造メーカーにより、大きい面積の印刷はかすれや飛沫による汚れが発生する場合があります。

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マスク

KiCADにおいてはレジストを塗らない場所を示します。

銅箔に様々な素材の金属被膜によって金または銀色になります。

本来は部品などをはんだ付けする端子のためのものです。

※ただし、英語ではmaskというとSolder Mask、後述するレジストのことを指すので注意。

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レジスト

ざっくりいうと基板の色のことです。

一般的に緑、黒、赤、黄、青、白、マット黒、紫など様々な色があります。

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画像をカットする

寸法どおりにカットすればなんでもいいのですが、今回は私のやっている方法を紹介します。

以下はPowerPointを使用しますが、PowerPointがない人はどういう手法でもいいので、Naked48LEDで256×70mm、Naked60BMPで256×87mmでカットすればいいです。

カット用PowerPointファイルをダウンロードする

私のリポジトリからカット用PowerPointファイルをダウンロードします。

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画像を貼り付ける

PowerPointファイルを開いて画像をそのままペタッと貼ると、以下のようになります。

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画像を拡大する

欲しい大きさまで画像を拡大します。

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画像を最背面へ移動する

画像を再背面に移動すると、ホック穴とプレート外形が見えてわかりやすくなります。

ここで位置調整や拡大の調整を行います。

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画像をトリミングする

書式→トリミングをクリックし、プレートの外形に従ってトリミングします。

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画像を拡大する

取り込み時の解像度を上げるために画像を拡大します。

だいたい2倍くらいでいいと思います。

※大きくしすぎると入稿時にサイズオーバーでメール別送となる場合があります。私は別送常習犯です。

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拡大した画像をPNGファイル化する

拡大した画像をペイントか何かに貼り付け、PNGファイルとして保存します。

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フットプリントを作成する

(くっきりマスクとシルクの領域を分ける場合)画像を色域で分割する

くっきりマスクとシルクの領域を分ける場合、画像を色で分割します。

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※私は画像処理についてあまり詳しくないので弟氏に丸投げしています。。。

その際に背景画像を黒くしておくと後で便利です。

(くっきりマスクとシルクの領域を分けない場合)画像を反転する

前述のように私はあまり画像処理が上手くないので以下のようなサイトを使っています。

www.bannerkoubou.com

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反転したら画像を保存します。

KiCADをインストールする

以下からKiCADをダウンロードしてインストールします。kicad-pcb.org

 

すみませんがインストール手順は割愛させてください。

日本語もあるし多分そんなに引っかからないはず。

KiCADプロジェクトデータディレクトリにlogo用のディレクトリを作る

解凍したディレクトリの直下に『logos.pretty』(名前は任意)というディレクトリを作成します。

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KiCADプロジェクトデータを開く

作成したいPCB名の、拡張子が.proのファイルを開きます。

今回はカバープレートのため、『Naked48_Yukata_Cover_Plate.pro』を開きます。

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ロゴ用パスを通す

フットプリントライブラリーエディタを起動します。

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設定→フットプリントライブラリーを管理をクリック。

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ライブラリーの追加をクリックし、別名(ニックネーム)に「logos」、ライブラリーのパスに「${KIPRJMOD}/logos.pretty」を入力し、OKをクリックします。

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インポートビットマップツールを起動する

インポートビットマップツールを起動します。

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インポートビットマップツールの白黒画像タグをクリックし、「ビットマップをロード」ボタンから先ほど作成したファイルのどちらかをロードします。

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欲しい外形になるように調整

レベルを操作し、欲しい外形になるように調整します。

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白い部分がシルクなりマスクになります。

白い部分ですよ!

サイズを調整

数値を調整して外形がねらった数字からマイナス2mm位になるように調整します。

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ピッタリサイズにすると端の部分のマスクが上手に出ない可能性が高いです。

縦横比よりもはみ出さないようにする方がキレイに製造してもらうコツです。

マスクかシルクか選択する

マスク(銀か金)、シルク(白か黒)を選択します。

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保存する

先程作った「logos.pretty」フォルダに適当な名前で保存します。

また、マスクかシルクか分かる名前だと良いと思います。

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もう片方も作る

マスクとシルク両方を保存します。

両方作ったらインポートビットマップツールは閉じてしまいます。

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PCBデータを作成する

PCBNEWを開く

kicad_pcbファイルをダブルクリックで開きます。

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こんな画面が出てきます。

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回線レイヤを非表示にする

赤と緑の面で見辛いので非表示にします。

削除したりすると悲劇の元なので非表示です。

F.Cu、B.Cuというレイヤのチェックを外します。

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ちなみに削除して発注するとこうなります。

マスクとシルクのフットプリントを配置する

フットプリントを追加をクリックし、基板上のどこでもいいのでクリックします。

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ブラウザで選択をクリックします。

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多分一番下にあるlogosを選択し、作ったマスク、シルクのどちらかをダブルクリックします。

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ぴったり真ん中に配置します。

 

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もう片方も配置します。

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マスクとシルクそれぞれにカーソルを合わせてEキーを押してプロパティを開き、マスクとシルクの位置座標を合わせるとぴったり配置できます

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裏面にも配置する

表裏異デザインで遊んでもいいですし、同じデザインで擦り傷などによる歩留まり低下に対策しても良いと思います。

背面への設置は反転のFキーを一回押して背面に移動させてから配置します。

3Dビューワで確認する

3Dビューワで仕上がりを確認します。

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あんまり納得行かない出来だけど、チュートリアルだからこのまま

反対側にもフットプリントを追加した場合、反対側も確認します。

保存する

悲劇の元なので忘れずに。

発注する

ガーバーデータを出力する

ファイル→プロットをクリックします。

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出力ディレクトリを適当に設定し、F.Paste、B.Pasteのチェックを外します。

※発注先がelecrowさんなら「Protelの拡張子を使用」のチェックを入れます。

※※個人的に側面へマジックなどで数量を書かれることはあるがレジストやシルクなどの品質、擦り傷の少なさ、値段などからelecrowさんがお勧め。(2019/05/20現在)

「製造ファイル出力」をクリックします。

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「ドリルファイルを生成」をクリックします。

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「ドリルファイルを生成」をクリックします。

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ガーバーデータを確認する

ガーバーファイルビューワで出力したガーバーファイルを確認します。

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レイヤをオンオフしてすべての情報が抜けてないことを確認します。

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リネームする

以下例のようにリネームする。

変更前 変更後
Naked48_Yukata_Cover_Plate-NPTH.drl

Naked48_Yukata_Cover_Plate-NPTH.txt ※1

Naked48_Yukata_Cover_Plate-B.Cu.gbl Naked48_Yukata_Cover_Plate.gbl
Naked48_Yukata_Cover_Plate-B.Mask.gbs Naked48_Yukata_Cover_Plate.gbs
Naked48_Yukata_Cover_Plate-B.SilkS.gbo Naked48_Yukata_Cover_Plate.gbo
Naked48_Yukata_Cover_Plate-Edge.Cuts.gm1 Naked48_Yukata_Cover_Plate.gml ※2
Naked48_Yukata_Cover_Plate-F.Cu.gtl Naked48_Yukata_Cover_Plate.gtl
Naked48_Yukata_Cover_Plate-F.Mask.gts Naked48_Yukata_Cover_Plate.gts
Naked48_Yukata_Cover_Plate-F.SilkS.gto Naked48_Yukata_Cover_Plate.gto

※1 NPTHだけは拡張子前に-NPTHを付け、拡張子をtxtに変更する。

※2 変更前は1(数字のイチ)となっているが、l(アルファベットのエル)に変更する。

上記ファイルはzipで固めておきます。

HPから発注する

ElecrowさんのHPにアクセスし、アカウントを作成します。

その後PCB Servicesをクリックします。

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レジスト色、マスクの種類、発送先の国などを選択し、カートに入れます。

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①クリックしてZip化したガーバーをアップロードします。

※画像の解像度が高すぎるとサイズオーバーで怒られますが、その時はメールで問い合わせればメールで入稿する手順を案内されます。

 メールで別送する場合、発注時のコメントで「後でメールでガーバー送るから、同名ファイルで置き換えてね!」と書き添えると確実です。

②PCBの外形寸法を入力します。カバープレートはNaked48LEDで256×70mm、Naked60BMPで256×87mmです。他のPCBは記載の寸法を元に入力してください。

③板厚はカバープレートのみ1.0mmで、ほかは1.6mmにします。

④レジスト色はお好みでどうぞ。PurpleとMatte Blackは少し高いです。

⑤表面処理はHASL Lead Freeで出すと銀色、Immersion goldで出すと金色になります。Immersion goldだと少し高いです。

⑥国家はJapan、運送費用はOCSを選択します。別でもいいけど、多分これがベスト。

⑦内容を確認し、「カートに入れる」をクリックします。

後は雰囲気で!

Tips:PayPalを使うときは円建てではなくドル建てで決済するかレートを確認する

海外通販の基本だったりしますが、PayPalの円換算は高かったりするので、どちらが得か確認しましょう。

Tips:メールで確認されたらOKOKと言う

画像を取り込んでデータを作るので、デザインルールを下回る細かい部分が発生しがちです。

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丁寧な担当者は上図のように確認してくれるので、面倒がらずにOKと答えましょう。

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英文には突っ込まないで…orz

正座して待つ

足が痺れるので長時間の正座はやめましょう。

全裸待機は風邪を引くので気温に合わせて暖房をつけましょう。

 

おわりに

マスクとシルクで遊ぶ話、いかがでしたでしょうか?

ご自分でデザインをしてみようとなる一助となれば幸いです。

 

本記事について、なにかわからないことが有れば遠慮なく本記事のコメント欄か私のTwitterへどうぞ。

 

本記事はcolosseum44で書きました。