自作キーボード温泉街の歩き方

自作キーボードの世界は温泉に例えられます。自作キーボードの温泉街の楽しい歩き方を紹介します。

メカニカルキースイッチの好みの話 その2

こんにちは。サリチル酸です。

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前回のキースイッチの話から新しい物を試しましたし、「アレないの?」「他のもやってよ」等の声をいただいたので続きを書いてみました。

はじめに

この記事は私の主観を元に書かれています。

他の方が同じ様に感じる事を保証するわけではないので、参考にする場合は一つの目安として参考に留めるようにしてください。

用語解説は以前の記事を参照してください。

salicylic-acid3.hatenablog.com

私のスイッチライフの充実傾向について

前回の記事から単体のスイッチで13種、キメラスイッチ(色々なスイッチを合体させた奴)で6種も増えました。

最近はスプリングだけでなくステム(軸のこと)単体でも買えることが当たり前になってきました。

このペースだとコンビニでキメラスイッチのレシピ本が並び、ルブがレジ横のフードプロセッサで混合されて売られる日もきっと遠くはないでしょう。

スプリングの重さについて

スプリングを交換している場合、スプリングの重さも記載しています。

但し、スプリングの重さについては概ね二種類が存在しているので注意が必要です。

ボトムアウトフォース(底まで押したときの重さ)とアクチエーションフォース(動作点までの重さ)です。

例えば黒軸は60gとして知られていますが(知ってますよね?)これはアクチエーションフォースで、ボトムアウトフォースではありません。(ボトムアウトフォースは80g近辺)

一応私も注意して書き分けますが、皆さんも購入時は注意してください。

入手性について

各スイッチで記載している入手性の凡例は以下の通り。

 国内で購入できる

♨♨ 国内では購入出来ない、または100円/個を超える

♨♨♨ 複数のスイッチを分解して組み合わせるなど、改造する必要がある 

※今回はカスタムスイッチが多く、湯加減が高めです。

リニア軸

Gateron Ink Silent Black

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入手性:♨♨

価格:120円/個

言わずと知れたスムーズさの王道、ink blackの静音版。

確かにスムーズだし静かだけど20%ほど高い。

クッションがステムの上下に入れられ、ボトムアウト時と戻り時の音が静かになっている。

個人的には底打ち時にグニュっと感が好きではないというのと、クリッキーほどではないが音はある程度欲しいため選択肢にはならないが、やむを得ず静音軸を使うとしたらこれにするかな、という感じ。

静音リニア軸のなかではおすすめのスイッチ。

遊舎工房:https://yushakobo.jp/shop/gateron-ink-switches/ 

Gateron × Zeel PC Turquoise Tealios

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入手性:♨♨

価格:130円/個

見た目が鮮やかになったTealios。

スムーズさに硬質さが加わったような気がしないでもないけど私には明確な差は分からなかった。。

とは言えなんだかんだスイッチって隙間から見えるので、好みの色があることは結構重要。

つまり、いいぞもっとやれ。

遊舎工房:https://yushakobo.jp/shop/turquoise-tealios/

Gateron × Zeel PC Orange Healios

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入手性:ー

価格:140円/個

Tealiosを静音化したスイッチ。

Ink Silent Blackと比べると、やや軽い(ボトムアウトフォースがInk Blackが80g、Healiosが67g)のと、ややスムーズで擦れ音が少ない。

ステムのグラつきはInkBlackと同程度でとても優秀。

後述のPink Roséliosの登場によって日本国内では入手できない状況が続いたが、最近V2が発表されて切り替わった。(同時にボトムアウトフォースが63.5gへと軽くなった)

とはいえコストが高すぎるので私のお財布事情では躊躇してしまうかな。

遊舎工房:https://yushakobo.jp/shop/healios-v2/

Gateron × Zeel PC Pink Rosélios Sakurios

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左がRosélios 右がSakurios

入手性:♨♨

価格:140円/個

軸の色が桜色になったOrange Healios。

見た目はすごく可愛いけど、値段は可愛くない…。

スムーズだったOrange Healiosのスムーズさに磨きがかかった気がするけど、気のせいかもしれない。

RoséliosとSakuriolsでは重さが5g違うので好みに合わせて選択できる。

静音リニアスイッチが欲しくて、お財布に余裕があり、スイッチを開けたりしたくないならいい選択肢と思う。

遊舎工房:https://yushakobo.jp/shop/pink-roselios-sakurios-silent-linear-limited-edition/

Alpaca

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(2020/10/31更新)遊舎工房さんで取り扱いが開始されたので更新しました。

入手性:♨

価格:80円/個

お気に入りスイッチのT1を製造しているDurock社製?のリニアスイッチ。

なぜアルパカなのかは不明。パンダに対抗したのか?そしたらもっと他にあったやろ…

安めの割にかなりスムーズでリニア軸としてのコスパはかなり高く、ストックのまま使ってもがっかりしない。

Ink BlackやTealiosと比較するとガタツキが多少気になるが、スムーズさでは全く遜色ない。

音も悪くなく、硬質かつ軽快な音でTealiosに似ていてかなり好みである。

但し分解して使用する場合はハウジングの爪が緩みガタツキが増し、フィルムが欲しくなったりするので注意が必要。

入手方法が個人輸入しかないのが難点だが、遊舎工房さんで購入できるようになったので文句なくオススメできるスイッチとなった。

「とりあえず生」ならぬ「とりあえずAlpaca」

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1000個強買った

遊舎工房:https://yushakobo.jp/shop/alpaca-switch-10/

TTC Silent Pink

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入手性:♨

価格:70円/個

ステムを上下二分割し、その間にクッションを挟む構造(下図参照)のかなりの変わり種スイッチ。

軒並み高価になる静音スイッチの中では特にコスパが光るスイッチ。

スムーズさはそれなり、というよりそこそこシャリシャリする。

底付きのぐにゃっと感は少ないが、静音性もそれなり。 

Kailh Choc Pro Red

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入手性:♨

価格:48円/個

誰もが待ってたchocスイッチの新型。

Proと付いているが他のKailh Proスイッチと違ってストロークが短かったりアクチエーションが近かったりするわけではない。

Choc赤軸の用に振ってもカシャカシャというマラカス音がしない、やたらと重くない、ボトムアウト時にむやみに堅い感触ではないという誰もが待っていた特徴を備えている。

オススメスイッチどころかchocスイッチが欲しい人は「これ買っとけ?な?」という感じ。

クリッキーが欲しい人は好きな軸を、他はこのPro Redにしておくことをオススメする。

次はもっといい感触のタクタイルのChocスイッチがほしい。

遊舎工房:https://yushakobo.jp/shop/pg1350/

Kailh × NovelKeys nolive Cream Switch

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入手性:ー(入手不可)

価格:約80円/個

クリームスイッチの色違い版、と言うだけでなくバネの仕様も変わっている限定バージョン。(ボトムアウト70g→63.5g)

もともとGMK Oliveというキーキャップセットの色を補完するために作られたという経緯のため、もう追加生産は無いらしく現在は入手困難になってしまった。

感触は通常のCreamと比較し、ややスムーズになってシャリシャリ感が減った気もするけど気のせいかも知れない。

普通に売られていればCreamよりおすすめできるスイッチであるが、手に入らない今は無理に手に入れるほどではない。

NovelKeys:https://novelkeys.xyz/collections/switches/products/nolive-cream-switches

Kailh × NovelKeys Cream Switch + Christo-Lubes MCG 112 +45gゴールドスプリング

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入手性:♨♨♨

価格:約100円/個+手間

ルブすることでCreamスイッチ特有のシャリシャリ感が消えて硬質なコツコツ音だけが残った、私の特に気に入ってるスイッチの一つ。

自分にはアクチェーション55gというクリームスイッチの標準スプリングは重すぎるので、アクチエーション45gのものに同時に交換している。

凄く気に入ってるけどMCG112のNovelKeysでの取り扱いがなくなってしまった(他のサイトではチューブで買えなくはない)ため、広く勧めることが出来なくなってしまった。

粘度が低い3203ならいけるか?と思ったけど3203を持ってないので未検証。

112を使用するなら205g0より多少多めに塗布すると上手くいく気がする。量はご自分で試してね。

スイッチ本体:https://yushakobo.jp/shop/novelkeys-cream-switches/

ルブ:https://www.tmcindustries.com/CHRISTO-LUBE-MCG-112-Grease-2-oz-tube_p_478.html (量が多いので注意)

ルブ:https://yushakobo.jp/shop/lubricants/ (バネ部だけGPL105を使用)

バネ:https://yushakobo.jp/shop/a0500gs/

Durock Alpaca + UHMWPEステム + TXスイッチフィルム + Krytox GPL205g0

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入手性:♨♨♨

価格:約100円/個+手間

最近スイッチの新素材として注目されているUHMWPEのステムをalpacaスイッチに使用してみたカスタムスイッチ。

ヤバいくらいスムーズだということで、試してみたところ確かにストロークはスムーズだった。

だがハウジングを開けたことによってガタツキが増加したため、スイッチフィルムの挿入が必要だったのがマイナスポイント。

スイッチフィルムの挿入によってガタツキは普通よりやや多い程度まで抑えられ、スムーズさではトップクラスに優秀になった。(それでもやや多いくらい)

だが個人的にはここまでするとInk Blackと同じくらいの値段になってしまうのでAlpacaスイッチならストックで使えばいいと思う。

スイッチ本体:https://yushakobo.jp/shop/alpaca-switch-10/

ステム:https://switchmod.net/collections/lubes-more/products/invyr-pe-stems

スイッチフィルム:https://yushakobo.jp/shop/tx-keyboards-switch-films-110/

ルブ:https://yushakobo.jp/shop/lubricants/ (ステム、ハウジングにGPL205g0を使用)

ルブ:https://yushakobo.jp/shop/lubricants/ (バネ部だけGPL105を使用)

Kailh × NovelKeys nolive Cream Switch + UHMWPEステム + Christo-Lubes MCG 112

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入手性:♨♨♨

価格:約120円/個+手間

UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)を利用した定評のあるキメラスイッチ、なのだが、個人的には普通のCreamスイッチをMCG112でルブったほうが好みなので人類の触感の好みの差は難しい。

通常の物よりスムーズになるが、やはりガタツキは増える。(おそらくUHMWPEステムはやや小さいのでガタが出やすい)

AlpacaにUHMWPEを入れたときほどの良さは感じないがガタツキはマシなので、バランスが良いともいえる。

スイッチ本体:https://novelkeys.xyz/collections/switches/products/nolive-cream-switches

ステム:https://switchmod.net/collections/lubes-more/products/invyr-pe-stems

ルブ:https://www.tmcindustries.com/CHRISTO-LUBE-MCG-112-Grease-2-oz-tube_p_478.html (量が多いので注意)

ルブ:https://yushakobo.jp/shop/lubricants/ (バネ部だけGPL105を使用)

Everglide oreoボトムハウジング + outemuクリアトップハウジング + UHMWPEステム + 63pスプリング + Krytox GPL205g0

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入手性:♨♨♨

価格:約120円/個+手間

家に余っている奴をこれでもか合わせてみたという訳の分からないカスタムスイッチ。

たぶん暗唱できない。

後述の擬似Diamond Starstoneを作ったときの余りだったが、ガタツキ、スムーズさ、音のどれも好みで、「あ、ええやん…」と悦に入ったとかないとか。声は漏れた。

ただし、kailhスイッチソケットに使用したところ、反応しない個体が多く見受けられた。

これはボトムハウジング内の接点がややゆるく、内部のクリアランスの変化によってスイッチの足がソケットに押され、スイッチ内で接点が出来なかったからと推察される。(oreoスイッチの特性な気がする)

ソケット不採用のキーボードに使用し、はんだ付けする前に足を引っ張っておくと問題が起こりづらくなる。

とはいえ単純にリニアなキースイッチが欲しいなら、もうちょっと別の手に入りやすいスイッチをベースにした方がいいんじゃないかと思う。

それこそ、遊舎工房でバラ売りしているOutemuのボトムハウジングパーツを使ってもいいかもしれない。

バネはProgressive(押すにつれてだんだん重くなる)を選択してみたけど、これは結構正解だと思う。

ストロークがスムーズすぎるので、荷重変化によってアクチエーションポイントを図りやすい気がする。

ステムがスムーズな分、バネの感触がダイレクトに伝わるのも面白い。 

トップハウジング:https://yushakobo.jp/shop/outemu_switch_parts/ (Clear LED スロットなし)

ステム:https://switchmod.net/collections/lubes-more/products/invyr-pe-stems

バネ:https://yushakobo.jp/shop/mx-progressive-series/

ルブ:https://yushakobo.jp/shop/lubricants/ (ステム、ハウジングにGPL205g0を使用)

ルブ:https://yushakobo.jp/shop/lubricants/ (バネ部だけGPL105を使用)

Gateron × Zeel PC Tiffany Blue Tealios + 63sスプリング + Krytox GPL205g0

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入手性:♨♨♨

価格:120円/個

ストロークの最初が重いSlowスプリングをリニアで利用してみたくて作ったカスタムスイッチ。

元がスムーズなのでスロー傾向の感触はよく分かった。

初期加重の入力まで動かず、一点を超えると一気にボトムアウトするので一見タクタイルのようになる不思議な感じ。

とはいえそういう感触が欲しいときはタクタイルの方がいい感触なので、個人的にはSlowスプリングはリニアにはオススメできないという感想になった。

逆にタクタイル系のスイッチには空走距離(タクタイルの山までの距離)を短く感じさせる効果があるため、オススメできる事がわかったので全く無駄な試みではなかった。

遊舎工房:https://yushakobo.jp/shop/a02te/

タクタイル軸

Gateron × KBDfans Aliaz Silent

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入手性:♨

価格:90円/個

静音タクタイルスイッチ。

タクタイル感は弱めでストロークがスムーズであるため、独特なドゥル感を感じる。

強いタクタイルを好む私は特別良さを感じないが、これが好きだという人は多い。

遊舎工房:https://yushakobo.jp/shop/pg1350/

Input Club Hako True

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入手性:♨

価格:80円/個

前回おすすめスイッチとして上げたInput Club Hako Violetを重くしてタクタイルをなだらかにした感じのスイッチ。

悪くはないが、やはり私は強いタクタイルが好きなので、おすすめというほどでもない。

遊舎工房:https://yushakobo.jp/shop/input-club-hako-switches/

Kailh Box Royal 

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入手性:♨

価格:80円/個

前回おすすめスイッチとして上げたInput Club Hako Violetを重くしてうるさくした感じのスイッチ。

ほぼクリッキーのような甲高い音なので、使用する場所は選んだほうがいい。

感触自体は悪くはないので、タクタイル好きでうるさくてもいいなら試してみてもいいと思う。

遊舎工房:https://yushakobo.jp/shop/kailh-box-royal/

Everglide Oreo(v2)

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入手性:♨♨

価格:90円/個

最近v2になってそのスムーズさに言及

強いタクタイル感が特徴でT1に非常に近い。

T1よりグラツキが少なくスムーズな印象だが、戻り時の音はT1より甲高くて大きい。

今回はカスタムスイッチの素材に使用したが、普通に使っても満足すると思う 

DROP + INVYR HOLY PANDA

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入手性:♨♨

価格:約100円/個

以前紹介したカスタムスイッチのHoly Pandaの状態に予めしてあるスイッチ。

ハイヒールのようなコツコツという硬質な音と強いタクタイルが特徴。

とても感触がよいため、気軽に使用できる状態で買えるのは素晴らしい。

唯一の欠点としては、作るのに分解する必要がないため、ルブるのが面倒になってしまうこと。

ルブったほうが上質になる、が、やはり面倒くさい。

Drophttps://drop.com/buy/massdrop-x-invyr-holy-panda-mechanical-switches

Diamond Starstone(偽)

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入手性:♨♨♨

価格:約120円/個

見た目が綺麗なカスタムスイッチ。

Ink Blueスイッチのハウジングとhaloスイッチのステムを組み合わせることで生み出されるDiamond Starstoneを、oreoスイッチのステムで再現したもの。

そこそこ強いタクタイルと長いバンプが特徴で、お気に入りスイッチのHoly Pandaの特性に近い。

Holy Pandaと比較すると、グラツキやスムーズさではDiamond Starstoneに軍配が上がるが、Holy Pandaの強いタクタイル感と独特の音が凄く好きであるため、一概にどちらが良いとは言い難い。

Holy Pandaと比較してもとてもいい感触なので、ぜひ触ってみてほしいスイッチの一つ。

NovelKeys:https://novelkeys.xyz/collections/switches/products/yok-polar-pandas

Drophttps://drop.com/buy/76410

おまけ

店頭では有りましたが、通販でも取り扱いを開始したようです。

yushakobo.jp

新たにルブ道具を集める方はこちらを購入されるといいと思います。

おわりに

久しぶりの記事でしたが、いかがでしたでしょうか。

本記事がめちゃくちゃ奥が深いスイッチへの一助になれれば幸いです。

新型コロナウイルスによる外出自粛中にルブやカスタムスイッチの世界を覗いてみるのも楽しいのではないでしょうか。

本記事に対して問い合わせ等あれば遠慮なく私のDiscordまでどうぞ。

salicylic-acid3.hatenablog.com

本記事はPolaris+Everglide oreoボトムハウジング + outemuクリアトップハウジング + UHMWPEステム + 63pスプリング + Krytox GPL205g0で書きました。