こんにちは。自キ温泉ガイドのサリチル酸です。
今回は私の設計した自作キーボードキット『InSixtyJP』の組み立て手順書、ビルドガイドを書きたいと思います。
- はじめに
- InSixtyJPとは
- 前置き
- 販売ページ
- キットの中身を確認する
- キット外で必要なもの
- 必要工具
- 組み立て
- 使用上の注意
- 動かない時に
- ランキング参加中
- おわりに
はじめに
キットをお買い上げ頂いた方、お買い上げありがとうございます。
拙い部分もあると思いますが一所懸命にガイドしますのでよろしくお願いします。
InSixtyJPとは
InSixtyENは7sKBの更新版というコンセプトで開発しましたが、InSixtyJPはそのアルミケースと互換性を持つ日本語配列版という位置づけで開発しました。
アルミケースとの互換ということで、配列としては結構縛りが有ったのですが、なるべく日本語配列として使用しやすいように配慮しました。
特に右側キーボードの配列については試行錯誤をしました。
最初は親指のホームポジションにおける左右の対称性を重視して1.25uや1.5uを多用する配列でしたが、日本語配列のキーボードを色々調べた結果、1uを多用する配列に見直しました。


これは日本語配列のキーボードにおけるスペースバーの長さや位置を研究した結果、親指の対称性にこだわるより、色々なユースケースに対応したほうが良いと判断したからです。
ただ、私個人としてはカーソルキーを山形にしたかったのですが、ENとのケース互換を維持するためにどうしてもこのような配列にするしかなかったのです。
ただ、InSixtyは自作キーボードであり、すべてのキーがリマップ可能であるために、色々な工夫をする余地があります。
ぜひコンパクトな60%分割キーボードを楽しんでください。
前置き
本キットはハンダ付けは不要ですが、本ガイドを見て分からない点があったら「やってから考える」のではなく、「先に」私まで問い合わせて、疑問を解消させてから取り組んでください。
製品についてのお問い合わせは私のDiscordまでどうぞ。
salicylic-acid3.hatenablog.com
販売ページ
準備中です。
キットの中身を確認する
以下はInSixtyJPのキット内容です。
キット内容物一覧
品目 | 数量 |
スイッチプレート | 左右1式 |
基板 | 左右1式 |
ボトムプレート | 左右1式 |
アクリルチルトバー | 左右1式 |
フォームシール | 2 |
スタビライザーセット | 2式 |
M2スペーサー | 4 |
M3スペーサー | 4 |
M2ネジ(3mm) | 2 |
M2ネジ(5mm) | 4 |
M2ネジ(8mm) | 2 |
M3ネジ(4mm) | 6 |
M3ネジ(9mm) | 2 |
ゴム足 | 8 |
万が一部品が足らない場合、お手数ですが以下の方法でご連絡ください。
購入先が遊舎工房様の場合:遊舎工房のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
購入先がKeeb-On!ショップの場合:Keeb-On!サイトのお問い合わせフォームよりお問い合わせをいただけましたらすぐに発送対応いたします。
スイッチプレート
本ガイド内では『スイッチプレート』と呼びます。
スイッチを嵌めて使用します。
基板
本ガイド内では『基板』と呼びます。
全ての部品がすでに実装され、ファームウェアが書き込まれています。
ボトムプレート
本ガイド内では『ボトムプレート』と呼びます。
このプレートがキーボードの底面になります。
アクリルチルトバー
本ガイド内では『チルトバー』と呼びます。
この5mmのバーがキーボードを打鍵しやすい角度に傾斜させてくれます。
曇っているように見えるのは保護シートが貼られているだけです。
使用時は剥がしてください。
フォームシール
本ガイド内では『フォームシール』と呼びます。
基板裏に貼り付け、基板がボトムプレートに衝突しないようにします。
スタビライザーセット
本ガイド内では『スタビライザー』と呼びます。
1セットにステム、ハウジング、ネジが2つ、ワイヤーが1つ含まれています。
このスタビライザーを基板に取り付けることで長いキーを安定して押すことができます。
スペーサー
本ガイド内では『スペーサー』と呼びます。
大きいほうがM3、小さい方がM2です。
スイッチプレートとボトムプレートの間に配置し、ネジ止めするのに必要です。
ネジ
プレート各種をネジ止めするのに必要です。
M2ネジ(3mm)が2個、M2ネジ(5mm)が4個、M2(8mm)が2個、M3ネジ(4mm)が6個、M3ネジ(9mm)が2個入っていますので確認してください。
ゴム足
キーボードが卓上で滑らないようにする滑り止めです。
シートについたゴム足が8個入っていますので確認してください。
キット外で必要なもの
一覧
品目 | 数量 |
キースイッチ | 69 |
キーキャップ | 69 |
USBケーブル | 1 |
キースイッチ
本ガイド内では『キースイッチ』と呼びます。
InSixtyJPはKailh社のChoc v2スイッチに対応しています。
InSixtyJPは69個必要です。
基本的にキーキャップとの干渉が少ないDeep Sea Silent Islet Switchをオススメしていますが、打鍵音が欲しい場合+XVXキーキャップを使用する場合*1はWhite Rain Switchでも良いと思います。
Kailh Choc v2 White Rain Switchkeeb-on.com
Kailh Choc v2 Deep Sea Silent Islet Switchkeeb-on.com
キーキャップ
本ガイド内では『キーキャップ』と呼びます。
InSixtyJPはCherryMX用のキーキャップをつけることは出来ますが、打鍵時にスイッチプレートまたはスイッチに衝突してしまう場合があります。
少なくともAcid CapsおよびGMKはスイッチに衝突してしまいます。
衝突しても使えないことは有りませんが、打鍵感は悪くなり、静音スイッチの効果が薄れてしまいます。
InSixtyJPはその名前の通り日本語配列なので日本語配列のキーキャップが欲しくなりますが、市中のロープロファイルキーキャップはありません。(あったら教えて下さい)
そこで概ね網羅できるキーキャップをここで紹介します。
ただし、記号キーの一部は一致しないので、そこはご注意ください。
※XVXキーキャップはロープロファイルのものとそうでないものがありますので、「ロープロファイル」との記載があることを確認してください。
以上のキーキャップに好みのものがなければ、多少の衝突音を我慢してAcid Caps Premiumを使用するか、もう少しだけ待ってもらってAcid Caps Lowprrofileを使用するという選択肢があります。
USBケーブル
本ガイド内では『USBケーブル』と呼びます。
GoForty v2とPCとをつなぐために必要です。
USB Type-Cコネクタがついているものを選択してください。
左右接続用USBケーブル
InSixtyはキーボードの左右をUSB-CtoCケーブルで接続します。
使用する環境で推奨のケーブルは異なりますが、普通に机に設置して使用する場合はL字コネクタのタイプを推奨します。
※充電専用ケーブルは使用できません。
長さは15cm〜25cmくらいがオススメです。
これで25cmです。
必要工具
本キットの組み立てにハンダごては不要なので、ドライバーだけ用意してください。
ベッセル(VESSEL) クッショングリップドライバー 〈細軸タイプ〉 +0×75 610
スタビライザーの潤滑に。
もちろんキースイッチ用のルブでもOKです。
他のものでもいいですが、フッ素樹脂配合の多少粘度があるものがいいです。
私は小さくて安く、入手しやすいミニ四駆のグリスをよく使います。
組み立て
いよいよ組み立てです。
まとまった時間は用意できましたか?
リラックスしてゆっくりやっていきましょう。
スタビライザーの取り付け
長めのシフトキーやエンターキーの端を押すとグラグラしてしまうのでスタビライザーを装着します。
注意
このスタビライザー、スイッチを取り付けてからでも付けられると勘違いする方もいるかも知れませんが、付けられません。
破損の原因になりますので、必ずスイッチをつける前にスタビライザーを取り付けてください。
Tips:スタビライザーの構成
スタビライザーはステムとハウジング、ネジ、ワイヤーで構成されます。
写真のようにステム、ハウジング、ネジは2つ、ワイヤーは1つで1セットです。
Tips:ステムをルブする
ルブしましょう。
ルブを怠ると後悔します。
ルブする箇所はステムとワイヤーの2箇所です。
まずはステムの横部分に付けます。
ステムをハウジングに挿入する
ステムの切り欠きがワイヤー側(写真右側)を向くように上から挿入します。
ワイヤーの端にルブする
ワイヤーをハウジングに組み付ける
ステムの奥まで挿入し、ワイヤーがハウジングにパチッとハマるまで押し込みます。
ついでにワイヤーが擦れる、指で示した部分にルブを付けて馴染ませておくとより良いです。
もう片方も同様にルブして組み付ける
PCBに取り付ける
ワイヤー側の爪をPCBの上(キースイッチつける側)から挿入し、奥まで差し込んだ後、反対側に倒します。
基板上の穴はそんなにタイト設計にはしていないので、抵抗はそんなに無いはずです。
固い、取り付けられない、と感じた場合は最初の爪がちゃんとかかってない可能性が高いです。
ネジ止めする
スイッチプレートにスイッチを取り付ける
透明なスイッチプレートにスイッチを取り付け、基板に差し込みます。
※これはFocus60ENの例です
まず四隅にキースイッチを取り付けてから他のスイッチを差し込んでいくとスムーズにできます。
スイッチを奥までキッチリ差し込み、スイッチプレートに密着させます。
このとき、スイッチの端子が曲がっていないことと、差し込むスイッチの端子と基板のソケット端子の位置と合っていることを確認してください。
スイッチの端子が曲がっていたりする場合は指でまっすぐに治してください。
まっすぐに治せなかったスイッチは使用しないでください。
注意:3ピンあるスイッチの場合
Choc v2スイッチには3ピンのものが存在します。
Choc v2のRed、Brown、Blue、Silentなどです。
この3本目のピンは特に電気的な役割を持っておらず固定用の物となっているため、取り付けに際して干渉する場合は切り取ってから取り付けてください。


テストする
スイッチが取り付けられたらPCにつなぎ、反応するかテストして下さい。
テストにはRemapのテストモードなどが便利です。
salicylic-acid3.hatenablog.com
スイッチプレートにM3スペーサーをネジ止めする
スイッチプレートにM3スペーサーをM3ネジ(4mm)でネジ止めします。
スイッチプレートと基板にM2スペーサーをネジ止めする
スイッチプレートと基板にM2スペーサーをM2ネジ(5mm)のネジでネジ止めします。
ボトムプレートをネジ止めする
ボトムプレートを基板の裏側に合わせ、ボトムプレートの手前側(下写真下側)をM3ネジ(4mm)とM2ネジ(3mm)でネジ止めします。


チルトバーをネジ止めする
チルトバーの保護フィルムを忘れずに剥がします。
ボトムプレートの奥側に、チルトバーとボトムプレートを一緒にM3ネジ(9mm)とM2ネジ(8mm)でネジ止めします。


ゴム足を貼り付ける
基板の印刷を目印にゴム足を8個貼り付けます。
※奥側のゴム足は結構ギリギリであるため、もう少し手前側に貼り付けたほうが良いです。
次バージョンで修正します。
もしゴム足を紛失した、粘着力が低下した場合は以下の商品をご利用ください。
※私もこれをよく買って、色々なものに使っています。
もしくは以下のような滑り止めをネジからプレート前面部分にかけて貼り付けることで、より強力にグリップさせることが出来ます。
キーキャップを取り付ける
自分の求めるキーマップに応じた配置でキーキャップを取り付けます。
(オプション)基板にフォームシールを貼り付ける
もし静音スイッチを使用していても打鍵中に底付き音がする場合、基板裏の中央部分にフォームシールを貼り付けます。
GoFortyなどと違ってプレート長が短く極端に撓むことがないので、あくまで保険です。
キーマップをカスタマイズする
以下の記事を参考にオリジナルのキーマップを探求してください。
※本キーボードはRemapに登録済みです。
キーマップの書き換えはRemapを使用してください。
salicylic-acid3.hatenablog.com
Tips:ファームウェアを書き換える
InSixtyはUSBを挿した時にPCのOSを自動判定してレイヤーを切り替える機能を付加することができます。
Remap対応ファームウェア(Default及びMulti OS)は、Remapのページからダウンロードできます。
Vial対応ファームウェア(Default及びMulti OS)は準備中です。
別途要望が多ければスピードアップするかもしれません。
PCとつなぐ方だけ更新すればいいが、両方PCに接続したい場合、左右別々に書き込む必要がある
完成!
お疲れ様でした!
達成感とともに、ゆっくりと自作キーボード温泉に浸かってください。
使用上の注意
- USBケーブルの抜き差し時にUSBコネクタを剥がさないように、力加減に十分注意して下さい。
- 以下の記事を参考に、PC接続時には十分注意してください。
salicylic-acid3.hatenablog.com
動かない時に
以下のサイトがトラブルシューティングについて網羅していますので参考にしてください。
ランキング参加中
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おわりに
ビルドガイドはいかがでしたでしょうか。
分かりやすかったでしょうか。
なるべく組み立てやすい様に設計したつもりですが、なにかわからないことが有れば遠慮なく私のDiscordまでどうぞ。
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本記事はClickBoard Ortho Proto3で書きました。
*1:White Rain SwitchはXVXキーキャップ以外と干渉して戻りが悪くなる場合があります。