自作キーボード温泉街の歩き方

自作キーボードの世界は温泉に例えられます。自作キーボードの温泉街の楽しい歩き方を紹介します。

左右分割キーボードの注意点をまとめるよ!

こんにちは。自キ温泉ガイドのサリチル酸です。

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ハンダ付け不要のGoFortySplitを作ったことで、改めて左右分割キーボードの注意点をまとめる記事が必要かなと思いましたのでまとめます。

はじめに

今回の記事は私の設計したキーボードが対象です。

私以外の方が設計した自作キーボード全てに適用できるというわけでは有りませんが、気をつけておいて損はないと思います。

ただしBLE Micro Proを用いた無線化したキーボードは本記事の対象では有りません。

なお、本記事のAmazonリンクはアフィリエイトリンクです。

絶対にやってはいけないポイント

本項目の行為をするとキーボードが破損する可能性があるだけでなく、PCまで破損する可能性があります

絶対にしないでください。

左右のキーボードをケーブルで接続したまま、両方ともPCに接続してはいけない

左右のキーボードを同時に同じPCに接続しても、別のPCに接続してもいけません。

「2つのPCに接続すれば2つのPCに同じ入力内容を送れるんじゃ?」と思うかもしれませんが、出来ません

PCに接続していない方のキーボードはスレイブモード*1ですでに動作しており、USBを追加で接続したところでマスターモード*2で動作し直すことは有りません。

それどころか2つのPCに変な電流が流れてしまい、キーボードだけでなく最悪PCのUSBポートが故障する可能性があります。(私の環境では認識しないだけで壊れたりはしませんでしたが、同様の動作を保証するものではありません)

左右のUSBポートを交互に使用する使い方をしている場合、気をつけていてもふとした拍子に両方同時接続してしまうような懸念がある方は、使っていない方のUSB-Cポートにキャップしておくと安心です。

片側だけしか使わない方も同様にキャップをしておくと安心できますので、オススメしておきます。

左右間をTRRSケーブルで接続するキーボードの場合

TRRSケーブルとは自作キーボードにはよくある、イヤホンジャックのようなケーブルです。

このケーブルは一つの軸に順番に端子が並んでいるため、挿抜*3の際に端子間がショート*4してしまいます。

TRRSジャックの中にネジが入ったままPCに接続してはいけない

ジャック内にm2 × 3mmのネジが入り込んでしまう場合があります。

そのままPCに接続することで端子間がショートしてしまったり、ネジが中に入ったままTRRSケーブルを無理やり挿したことによってジャックが破損してしまったりします。

冗談のようですが、これは割とよく聞くトラブルです。

TRRSジャックが破損した場合は交換が必要です。

TRRSケーブルが半挿しのままPCに接続してはいけない

前述の通り、半挿しの際は左右間に流れる電気の+と-がショートしてしまっています。

そのままPCと接続するとキーボードが認識されないだけでなく、最悪キーボードが壊れたりする可能性がありますので注意してください。

PCに接続したままTRRSケーブルを挿抜してはいけない

前述の通り、TRRSケーブルは挿抜の際にショートしてしまいます。

左右分割キーボードを使用する場合は左右間を接続した後でPCと接続してください。

左右間を切り離す場合はPCから抜いた後で切り離してください。

最悪キーボードが壊れたりする可能性がありますので注意してください。

TRRSケーブル指定のキーボードにTRSケーブルを挿してはいけない

TRRSは「Tip Ring Ring Sleeve」の略で、ジャック部分の端子数のことを指しています。

TRRSだと通常のイヤホンより1極多い4極ということになります。

逆に普通のイヤホンジャックは3極なのでTRSです。

TRRSケーブルではなくTRSケーブルを使用してしまうと、1極はショートしてしまいます。

ビルドガイドにTRRSケーブルのみ使用可能と明記しているキーボードにTRSケーブルを使用してはいけません。

ちなみに、私のキーボードの場合はほぼTRSケーブルの使用が可能ですが、LPME-IOとBLE Micro Proを用いた無線化においてはTRSケーブルは使用不可です。

間違えて使用するとBLE Micro ProとLPME-IOを破損する危険性があるので、記載上はTRRSケーブル指定となっています。

TRRSケーブルを挿抜したあとキーボードが認識されなくなった場合の対処

ProMicroなどのマイコンボードを使用している場合は交換することで復旧する場合があります。

マイコン直付け基板である場合、基板ごと交換する必要がある場合があります。

左右間をUSB-Cケーブルで接続するキーボードの場合

USC-CケーブルはTRRSケーブルと違い、挿抜で端子間がショートしたりはしません。

よってTRRSケーブルのように半挿しや、PCに接続している中で抜挿しても故障しません。

ただし、PC接続用コネクタと左右間接続用コネクタを取り違えて接続することで基板が故障したり、PCに悪影響が及んだりする可能性があるため、注意が必要です。

対策としては左右間接続コネクタ部分に赤いマジック等で目印をつけて区別することで間違いを防止することができる、かもしれません。

持ち運びをする場合はよく確認してからPCと接続してください。

左右間接続用コネクタでPCと接続してはいけない

コネクタの形状は同じですが、左右間接続用コネクタの回路はPC接続用コネクタとは全く異なるため、左右間接続用コネクタを使用してPCと接続してもPCはキーボードと認識しません。

ただし、私の環境で試した際はUSB機器として認識しないだけで特に故障したりはしませんでしたが、全てのPCで同様であるかは保証できかねます。

左右間接続用コネクタにPCとの接続ケーブルを挿さないように気をつけてください。

左右間接続用コネクタとPC接続用コネクタを直接接続してはいけない

こちらも私が検証した際は、スレーブ側で入力できないだけで壊れたりはしませんでしたが、全てのPCで同様であるかは保証できかねます。

充電用ケーブルを使用してはいけない

充電用ケーブルでは左右間接続がうまく出来ない場合があります。

もしちゃんと挿しているのに左右間接続が出来ない場合、ケーブルを交換してみてください。

左右間接続にUSBハブを使用してはいけない

左右間接続は通常のUSBの信号ではないので、左右間接続にUSBハブを使用することは出来ません。

左右間接続は直結で使ってください。

ケーブル挿抜の際にコネクタのモゲに注意する

ケーブル挿抜の際に無理に力を込めると、USB-Cコネクタがモゲてしまう場合があります。

無理に力を込めないようにしてください。

注意したほうがいいポイント

以下は取り扱いを間違えても壊れるわけではないですが、知らないと迷ってしまうようなポイントをまとめます。

ファームウェアの書き込みは左右両方のキーボードに書き込む必要がある

左右分割キーボードは(少なくとも私が設計したキーボードは)左右の両方にマイコンを搭載しています。

ファームウェアを書き込む場合は、PCに接続する側のマイコンだけでなく、両方のマイコンファームウェアを書き込む必要があります。

ファームウェアを書き込まないと入力できません。

左右のマイコンのキーマップは共有されない

左右のマイコンに書き込まれたキーマップは左右間で共有されないため、左側でPCと繋いだ場合と右側でPCと繋いだ場合でキーマップが異なってしまう場合があります。

これを逆手に取って左右で繋ぎ変えることでキーマップを切り替えることが出来ます。

が、絶対にやってはいけないポイントにも記載の、左右同時にPCに接続するようなことがないように気をつけてください。

TRRSケーブルとTRSケーブルを使い分ける

TRRSケーブルとTRSケーブルを比較すると、通常はTRSケーブルのほうが圧倒的に種類が多く、百均にも多数あるくらい廉価です。

私のキーボードの場合はほぼTRSケーブルの使用が可能なので、LPME-IOとBLE Micro Proを用いた無線化構成でなければTRSケーブルを使うことでコストを減らすことが出来ます。

ちなみに、Amazonや百均などでTRSケーブルを探す場合はAUX(オークス)ケーブルと探すと見つかりやすいです。

私のブログ記事はリンクフリーです

私のブログ記事は基本的にリンクフリーです。

本記事が有用だと感じた設計者の方はビルドガイド等にリンクしていただくことが出来ます。

ただし、記事内容をそのままコピーして抜粋したり再利用することは許可しておりません。

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おわりに

GoFortySplitのテストのために、ある程度の分量の文章を書きたくなったので、関連するこちらの記事を書きました。

左右分割キーボードは楽な姿勢で長文を打ち込むのに向いていますが、普通の一体型キーボードにない注意点があるため、皆さんも注意してくださいね。

 

本記事に対して問い合わせや要望があれば遠慮なく私のDiscordまでどうぞ。

salicylic-acid3.hatenablog.com

この記事はO54GoS + GoFortySplitスタックケースで書きました。

*1:PCと接続しない側の動作モード。
PCと接続するマスター側に押下されたキーの位置のみ伝える。
押されたキーの位置のみの伝達であるため、スレイブ側のキーマップは一切考慮されない。

*2:PCと接続する側の動作モード。
押下されたキー位置情報を、マスター側のキーマップを当ててキーコードに変換してPCに送出する。

*3:字の通り挿したり抜いたり。

*4:繋がっていけないところが繋がってしまうこと。
音楽プレイヤーやスマホで音楽を流しながらイヤホン・ヘッドホンを挿す際に、ブツッと音が鳴る場合がありますが、アレの原因の一つがショートです。
イヤホン・ヘッドホンも音楽が鳴っていない状態で抜き挿ししましょう。