こんにちは。自キ温泉ガイドのサリチル酸です。
今回は比較的長い時間(1年半)をかけて開発してきたErgoArrowsProがついに完成したので、改めて特徴について説明したいと思います。
- ErgoArrowsProとは
- 写真で見るErgoArrowsPro
- 特徴1:指の長さにあわせたキー配列
- 特徴2:アロー(カーソル)キー
- 特徴3:アルミ削り出しケース
- 特徴4:すべてのキーがホットスワップ可能で組立簡単
- 特徴5:BLE Micro Proによる無線接続が可能
- 特徴6:一体型パームレスト
- 特徴7:テンティングスタンド
- 特徴8:LEDは非搭載
- 特徴9:カバーケース
- 特徴10:Remap / VIAで簡単にキーマップが変更可能
- 基本的なスペック
- 販売ページ
- 紹介記事
- ランキング参加中
- おわりに
ErgoArrowsProとは
ErgoArrowsProはErgoArrowsの上位版というより、今のスキルを駆使して作った新作キーボードです。
とはいえ、ErgoArrowsがやりたかったことからブレてはいません。
ErgoArrowsから受け継いだ特徴も多くあります。
写真で見るErgoArrowsPro
特徴1:指の長さにあわせたキー配列
通常のキーボードはキーが横にズレた配列が標準的なものになりますが、実際に指を動かすとキーの配置は縦に動く指の可動域に沿っておらず、横移動が必要であることがわかると思います。
そこで自作キーボードでは指の縦の可動域に合わせたものが多く作られているのですが、このErgoArrowsProも指の可動域にあわせるように縦にズレたキー配列をしています。
それでも運指の厳守を強要するような極端なズレ幅にせず、ある程度流れにあわせて柔軟な運指でも違和感のない範囲のズレ幅で仕上げています。
特徴2:アロー(カーソル)キー
名前の由来にもなっていますが、ErgoArrowsはアローキーが左右1組ずつ、合計2組備わっています。
更にカーソルキーをロープロファイルキースイッチにすることで手のひらの下に収め、打鍵姿勢を極力崩さずスッと手を引くだけでカーソルキーの操作を行えるようにしています。
これは通常のキーボードの横に手を動かすよりもホームポジションの姿勢変化が少ないようにしたものです。
更にキーの高さが違うので、手元を見る必要なく手元でキーを判別できます。
また左手側にもカーソルキーが有ることで、右手をマウスから離さずともカーソルキーの操作ができます。
これって地味に結構便利だと思っています。
マウス操作が主の作業を行っている場合、Windowsキー+アローキーやWindowsキー+Tabキーでウィンドウの操作を使いませんか?
これらの操作が左手だけでできますしExcelでもアローキーは多用しますので、この左手アローキーは慣れると手放せなくなります。
もちろん、すべてのキーは再配置可能なので、このアローキーにボリュームコントロールやマウスカーソルを動かす用途を割り当てることもできます。
なおErgoArrowsと違い、ErgoArrowsProのアローキー部はKailh Choc v1スイッチ及びキーキャップのみの対応となります。
特徴3:アルミ削り出しケース
ErgoArrowsProは堅牢なアルミ削り出しケースが標準で付属します。
どうしても一体型よりコスト高になりがちな分割キーボードですが、プレート一体型構造とすることで、できるだけコストを抑えるようにしています。
プレート一体型構造は打鍵の振動がケースへと伝わることで打鍵音が響いてしまうこともあるのですが、ErgoArrowsProはプレート部分を5mm厚としスポンジフォームと合わせることで打鍵音の響きを抑止し、堅牢さの両立を図っています。
反面硬い感触となってしまうのですが、エントリーセットでも組み合わせているようにサイレントスイッチと組み合わせることで硬さを緩和することが可能です。
また、ErgoArrowsの特徴である親指キーやアローキーの隙間の部分も格好良くすることが出来ました。
ここ、結構こだわりの部分なんです。
格好良くないですか?
他のスイッチマウント方式だとこの部分は細すぎて強度的に諦めざるを得なかった部分なので、実現できて非常に満足しています。
特徴4:すべてのキーがホットスワップ可能で組立簡単
ErgoArrowsでは各スイッチのハンダ付けが必要でしたが、ErgoArrowsProはKailhソケットを採用することでハンダ付けを必要とせずにスイッチの付替え(ホットスワップ)が可能です。
ソケットやダイオードも工場によるハンダ付けがなされている状態で出荷いたしますので、ハンダ付けはProMicroやTRRSジャック、無線用のパーツのみとなります。
それでもハンダ付けに抵抗のある方向けに、エントリーセットも用意しました。
エントリーセットはマイコン*1のハンダ付け及びファームウェアの書き込み*2とネジ止めを済ませ、私がErgoArrowsProとの組み合わせにオススメするキースイッチ*3をセットし、専用に設計したAcid Caps Ergoを同梱して発送いたします。
エントリーセットを購入した方は、自分の使用環境にあわせてキーキャップを選んで取り付けるだけで使用できます。
(公開後追記)
コンプリートセットの名称をエントリーセットに改めました。
特徴5:BLE Micro Proによる無線接続が可能
マイコンにBLE Micro Proを用いることで無線接続が可能になります。
日本で無線機器を作って販売しようとすると色々と高いハードルがあるのですが、ErgoArrowsProはBLE Micro Proという無線モジュールを使用することで無線接続が可能となっています。
正直私は無線接続をしたいがためにProMicro互換のキーボードを作っているくらいです。
BLE Micro Proはキー1つでペアリング先を切り替えられます。
ものすごく便利です。
USB Type-Cを用いた有線接続とも切り替えることも可能です。
CR1632というコイン電池を片側2個ずつ、計4個使用することが可能*4です。
コイン電池を使用する場合は使用状況にもよりますが、3ヶ月程度使用できる想定*5です。
また、後述のパームレスト内に単4電池を内蔵することで、更に長期間の無線接続が可能になります。
容量から単純に計算すると、軽く半年以上は使用できる計算となります。
(公開後追記)
USB Type-Cによる有線接続でも使用可能ですが、PCとUSB接続ができるのは左側だけとなります。(BLE Micro Proの仕様)
また、エントリーセットの場合はBLE Micro Proを2つ使うので、左右間の接続は無線接続のみとなります。
※キットの購入者がLPME-IOを使用する場合は4極のTRRSケーブルによる有線接続の部分無線(PCとの間は有線/無線の切り替えが可能、左右間は有線のみ)が可能です。
特徴6:一体型パームレスト
ErgoArrowsから続くErgoArrowsシリーズの特徴が、キーボード本体と一体となるパームレストオプションです。
分割キーボードはキーボードの左手側と右手側を分割しているため、パームレストを使用したい場合は同じく2つ用意する必要があります。
そうすると、キーボードとあわせて4つのものを自分の姿勢や気分などにあわせて調整する必要があります。
また、分割してしまうとそれぞれが軽くなってしまうため、最適な位置に合わせても自然とズレやすくなってしまいます。
それを防ぐためにキーボード本体にネジで固定して一体化出来るパームレストをオプションとして用意しました。
ErgoArrowsではFR-4のプレートを組み合わせた素材で作っていましたが、ErgoArrowsProは高級木材であるウォルナット削り出し(ウレタン塗装)としております。
角にあたっても痛くないように、また左右間にトラックパッドやトラックボールを置いてもアクセスしやすいように、3次元的な丸みを持たせているのも外見的に大きな特徴です。
※製造不良により、ErgoArrowsPro本体との同時販売ができなくなってしまいました。
別で発送する送料分を値引きしての提供といたしますので、何卒ご容赦ください。
特徴7:テンティングスタンド
これもErgoArrowsにはないErgoArrowsProだけの特徴なのですが、体の内側に向かって10°のテンティングを行うスタンドを装着可能です。
私がメイン機として主に使用しているNaked64SFv3で10°のテンティングに慣れきってしまったので作りました。
体の内側に向かって傾斜を付けることで手首の負担を減らし、快適なタイピングを続けることができます。
分割キーボードのテンティングパーツとして採用されているネジや可動式のテンティング足ではなく、3Dプリント式のスタンドを使用することで位置調整が容易になり、打鍵時の安定感も増しています。
本パーツは在庫販売は行わず、3Dデータを公開するので欲しい方は自分で発注していただく形式にて提供いたします。
私の方で在庫して販売しようとすると大変なスペースを必要としてしまいますし、販売価格に在庫コストが乗ってしまうより各自発注したほうがかなり安く済みますので、ご理解をお願いします。
発注には以下の記事を参照ください。
salicylic-acid3.hatenablog.com
特徴8:LEDは非搭載
ErgoArrowsに有ってErgoArrowsProに無いものが一つだけあります。
それがLEDです。
基板の配線が大変だったのが一番大きいですが、私はキーボードのLEDは「あってもなくてもいい」というスタンスなので省略しました。
多分LEDを付けていたらもう少し販売価格が高くなってしまっていた(手間+部品代+故障交換用予備費)と思います。
LEDがどうしても欲しい人は私に粘り強く私に要望を送るともしかしたら設計する気になるかも知れません。
もしくはフルキーバックライトのPCBを設計したいので設計データをくれ!という光の眷属の方がいたら相談ください。
特徴9:カバーケース
ErgoArrowsProはコストをギリギリまで低減するため、あまり見えない裏面はErgoArrowsと同じようなシンプルな構造にしています。
プレート状とすると板同士の間で音が反響してしまうことがあるので、オプションでアルミ削り出しのパーツも用意してみました。
ウェイトとしてはあまり役に立たない(有線版で75g、無線版で50gの増加)ですが、打鍵音は結構変化があります。
プレート状の標準状態では数字列の打鍵音(反響音)はやや大きくなってしまいますが、カバーケースを使うことで音を抑えることが出来ます。
特徴10:Remap / VIAで簡単にキーマップが変更可能
ErgoArrowsPro / ErgoArrowsはファームウェアのコンパイルを必要とせずにキーマップの変更が可能です。
ただし、VIAというソフトを使用する場合は対応するファームウェアを書き込む必要があります。
基本的には日本語配列も対応しているRemapでの使用をオススメします。
基本的なスペック
- ケース材質:アルミ削り出し
- ケース表面処理:電着塗装(E-Black、E-White)
- スイッチマウント方式:ケースプレート一体構造
- 使用スイッチ:CherryMXスイッチ68個 + Kailh Choc v1スイッチ8個
- タイピング角度:約5°(パームレスト使用時は0°)
- 重量:片側495g(スイッチ、キーキャップ込)
- ファームウェア等:QMK / VIA / Remapサポート
- パームレスト材質:ウォルナット削り出し(ウレタンクリア塗装済み)
- テントスタンド材質:3Dプリント(購入者による発注)
(公開後追記)
有線版は左右のどちらにUSBケーブルを挿しても使用できますが、キーマップは共有されません。
無線版は有線接続と無線接続の切り替えが可能ですが、USBケーブルを挿入できるのは左側のみです。
販売ページ
紹介記事
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おわりに
皆様に回答いただけたICのご協力により、Proto2よりかなりブラッシュアップしての提供とできそうで本当に嬉しいです。
特にICで「キースイッチ、キーキャップセットにしてくれ!」というご意見をいただいた時は出来るとは思いませんでしたが、このご意見が頭に残っていたことによりAcid Capsシリーズが生まれました。
非常にありがたいです。
ぜひこれからのErgoArrowsProをよろしくお願いします。
本記事に対して問い合わせや要望があれば遠慮なく私のDiscordまでどうぞ。
※ErgoArrowsProは私のDiscordサーバ内限定で先行販売を実施いたします。
salicylic-acid3.hatenablog.com
この記事はErgoArrowsProで書きました。