こんにちは。自キ温泉ガイドのサリチル酸です。
今回はJLCPCBより依頼を受けまして、JLCPCBへの3Dプリンタ部品の発注方法を解説したいと思います。
※本記事内で発注する3Dプリンタ部品の一部はJLCPCBの提供を受けています。
- はじめに
- JLCPCBとは?
- JLCPCBの3Dプリントサービスを使用した商品例
- 3Dプリントサービスの注意点
- 3Dプリントサービスの向く用途
- 3Dデータ(STEPファイル)の出力
- 公開されている3Dデータ(STEPファイル)を利用する
- 発注する
- 発注する
- おわりに
はじめに
本記事では3Dプリントサービスの発注方法について解説します。
記事の執筆時点からJLCPCBの発注方法が変更になっている場合がありますが、実際の画面の方の記載をよく読み、画面の指示に従って発注をしてください。
JLCPCBとは?
※新規ユーザは上のリンクからクーポンを入手できるようです。
JLCPCBは中国にある基板製造会社です。
自作キーボードの設計者も利用している方が多いと思います。
私が過去2回も記事を書いている通り、3Dプリントサービスだけでなく基板製造サービスも結構愛用しています。
salicylic-acid3.hatenablog.com
salicylic-acid3.hatenablog.com
私が3DプリントサービスにおいてもJLCPCBを愛用する理由は「早い」「安い」「キレイ」です。
JLCPCBの3Dプリントサービスを使用した商品例
具合を見たいなら以下の商品を注文すると実際の具合を見ることが出来ます。(宣伝)
MJFを使用
※電池ケースのみ
※ノブのみ
※ノブのみ
ブラックレジンを使用
※電池ケースのみ
3Dプリントサービスの注意点
樹脂等を溶かして積層する、感光して一層ずつ硬化させるなどの3Dプリントの特性上、どうしてもある程度の歪みが発生します。
そのため、ガッチリピッタリと嵌め合う形状の場合はある程度の余裕が必要です。
同様に長く大きい形状の場合は反りが大きくなる場合があります。
そのような形状の場合、なるべく端でネジで止めるような形状にして強く締結することで、気にならなくなる場合があります。
※個人的には未体験ですが、ある程度大きいと追加コストが発生する場合もあるようです。
3Dプリントサービスの向く用途
曲面の多い形状
キーキャップやグリップのような丸みを帯びた形状はCNCで削り出す場合は高価な機械が必要なので、製造にもコストが必要です。
しかし3Dプリントならそのような曲面の造形も出来ます。
短い納期を活かした試作
CNC削り出しの依頼をすると、塗装までの工程を含めて出来上がるまで約1ヶ月くらいの時間を要します。
しかしJLCPCBの3Dプリントサービスなら到着まで2週間とかかりません。
最終的にアルミで削り出す場合でも事前の干渉チェックや角度のチェックなどには十分使用できますので、開発期間を圧縮したい方にはオススメの使用方法です。
安価な試作コスト
また、CNC削り出しは発注個数によって単価がグッと下がりますが、3Dプリントサービスではほとんど単価は変わりません。
これは製造方法とコストがかかる部分が異なるためですが、3DプリントサービスでCNC削り出しの試作を代替した場合、かかるコストは4分の1以下に抑えることが出来ます。
画面上で悩むより、実際に出力したほうが解決策が思い浮かびますし、新たなアイデアも浮かびやすいので、安いというのはとても嬉しいことです。
軽い修正ならヤスリやナイフで削って修正が可能
アルミ削り出しで試作をすると、軽い干渉を調整するためでも塗装面を削ると地肌の銀色が見えてしまいます。
いくら試作と言えど、あんまり気分のいいものではありませんし、試作費も結構高いので躊躇してしまいます。
その点3Dプリントならそもそも積層痕もついていますし、ゴリゴリ削ってもあんまり精神的な負荷はありません。
3Dデータ(STEPファイル)の出力
まずは発注に必要な3Dデータを出力します。
私はFusion360というソフトを愛用しています。
直感的で分かりやすく、簡単に3Dデータを作ることが出来る上、個人利用なら無料で使用できます。
※Fusion360の使い方などは別の機会に解説したいと思います。
3DデータができたらSTEPファイルという形式でエクスポートします。
公開されている3Dデータ(STEPファイル)を利用する
YouTubeで精力的に動画の数多くを公開され、オリジナルのとても格好いいカスタムキーボードの制作も手掛けるKS Japanさんより部品などを置くトレイをデザインしていただきました。
KS Japanさんに許可をもらえたので、私のGitHubでSTEPファイルを公開します。
とにかく3Dプリントサービスを発注してみたい、触ってみたいという方は是非利用してみてはいかがでしょうか。
また、以下のようにSTEPファイルを配布しているサイトもありますので、3Dデータを作れなくても欲しい物があればダウンロードして発注することが出来ます。
※ライセンスは要確認。
発注する
STEPファイルをアップロードする
JLCPCBのページを開いてログインし、「Order now」をクリックします。
※新規ユーザは上のリンクからクーポンを入手できるようです。
PCBタブの「Add 3D Files」をクリックします。
先程準備したSTEPファイルを選択します。
アップロードされると3Dモデルの画像が表示されるので、自分が想定した通りの3Dデータであることを確認します。
※たまに別のファイル、バージョンをアップロードしてしまうことがあります。
この青いモデル部をクリックするとグリグリ動かしながら確認する事ができます。
自分で作った3Dデータではない人はここで最終確認をしましょう。
素材を選択する
プリントする素材を選びます。
安いものから高いものまで様々ですが、私がよく使用する素材を解説したいと思います。
SLA(Resin)
レジンです。
紫外線を当てることで硬化するレジンを使ってプリントします。
特徴は何と言っても滑らかさとコストの安さです。
私が主に使うのは以下の2種類です。
- LEDO 6060Resin
安くモックを作る時に使用します。
少しくすんだ白で反りは少なく、表面も滑らかです。 - Black Resin
手で触れるものを作る時に使用します。
ねずみ色で反りがありますが、表面はとても滑らかです。
MJF(Nylon)
非常に細かいナイロンの砂をレーザーで固めて造形します。
砂に埋もれた状態で固めていくのでサポート(造形中に崩れないように付ける足場のようなもの)が不要で、寸法精度がとても高いです。
- PA12-HP Nylon(Dyed black)
とても精度良くプリントしてくれますが、表面はザラザラしています。
ナイロンでプリントしたあとに染色して黒くしてくれますが、他のパーツと一緒に染色液に漬けて染めるため、大きなパーツほどムラやシミができやすいです。
他にも色々な素材やノウハウがあるのですが、別記事で紹介します。
数量と用途を入力する
数量と用途を入力します。
発注する
カートの画像をクリックしてカートの内容を確認後、「Secure Checkout」をクリックします。
住所情報や発送方法などを選択して決済します。
発送方法はOCS Expressがオススメです。
オススメの理由は驚異的な安さです。
これ、日本国内の送料より安いんですけど…。(これは10cm四方以下のトレイで小さいから余計に安い)
レビュー完了を待つ
3Dモデルに製造が不可能な部分やリスクが有る部分が無いか確認してくれます。
レビュー完了までには1日程度かかります。
製造が不可能な部分やリスクがある部分についてはメールで対応を聞いてきますので、忘れずにメールチェックしたほうが良いです。
ちなみにOrder Historyのモデルの名前に以下のように!マークがある場合は自動チェックにより何らかのリスクが見つかったということです。
この部分をクリックしてリスクの内容を確認し、リスクを許容するとしておくことでメールによる確認を省略することが出来るようです。
精算する
レビューが通ったら支払いをしましょう。
おわりに
JLCの3Dプリントサービスの発注手順はいかがでしたでしょうか。
この記事があなたの3Dプリントサービス発注の一助にしていただければ幸いです。
次回は発注した3Dプリント製品の外観などをレビューしたいと思います。
本記事に対して問い合わせ等あれば遠慮なく私のDiscordまでどうぞ。
salicylic-acid3.hatenablog.com
この記事はNaked64SFv3 Proto3で書きました。