自作キーボード温泉街の歩き方

自作キーボードの世界は温泉に例えられます。自作キーボードの温泉街の楽しい歩き方を紹介します。

Keychron Q11というキーボードを買ってみたよ!

こんにちは。自キ温泉ガイドのサリチル酸です。

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様々なカスタムキーボードをリリースしているKeychronから、ついに分割キーボードが発売されました。

開発のための調査用で買ったのですが、気になっている人も多そうなので簡単に感想を書きたいと思います。

私はオタクなので一般の方の参考になるかは分かりませんが、ぜひ見てみてください。

Keychron Q11とは

言わずと知れたKeychronの11番目のキーボード、というわけではないようです。

ネーミングルールは分かりませんが、とにかくQ11は75%程度のキー数を持つアルミケースの分割キーボードとして発売されました。

まずは色々と写真を撮ってみたので見てみてください。

うーん、格好いいですね!

なんでキーボードを分割するのか?

肩をすぼめて打つのが窮屈で、長時間のタイピングが肩こりの原因になったりする※からです。

雑な図ですまない

※肩こりに悩まされている方はキーボードを変えるだけではなく、運動やストレッチを取り入れたり、程度によっては医師にアドバイスを求めた方がいい場合があります。

他にも「間に飲み物やお菓子、トラックボールなどが置ける」「寝ながら体の左右に置ける」「左手側だけ接続してゲームに使える」などのメリットがあります。

とは言え、もちろんメリットだけではないです。

6、Y、Bキーといった分割する境界に近いキーについて、普段左右の手の役割をちゃんと守れている人は良いのですが、意識せずに普段使っていると知らずに越境していることも結構あります。

Q11のキーレイアウト

分割キーボードを使用すると、自然とホームポジションに矯正されるので次第に慣れていきますが、よく使うショートカットキーなどを事前にチェックしておくと良いでしょう。

(例えばCtrl+Bを左右の指を使って打っていた場合、左手だけで打つように直すかキーマップを工夫する必要があります)

また、2つに分かれるため部品などが増えることで基本的に普通のキーボードに比べて高価になりますし、打鍵感も悪くなる方向にあります。

Q11はKeychronの他のQシリーズのキーボードに比べて打鍵感は確実に悪いです。

Keychron Q11の特徴と感想

この記事は私の素直な感想を書くつもりであるため、いいことばかりを書くつもりはありません。

私が感じたままの感想をバシバシ書いていきます。

最初はいろいろ気を使って書こうと思っていたのですが、それもちょっと違うかなと思いましたのでQ11が好きな人はちょっと申し訳ないのですが、ご容赦いただければと思います。

キーレイアウト

キーレイアウトはスタンダードな75%レイアウト、というわけではありません。

割と変わった配列になっていますが、キーキャップがセットになっているためにキー印字と機能にズレはありません。

が、うーん?と思う部分もいくつかあります。

ファンクションキー列

ファンクションキーが数字キーからちょっと離れているレイアウトは打ち間違いが抑えられるため、私個人は好ましいと思います。

ただ、EscとF1、F4とF5、F8~F9の間に隙間が無いのがちょっと気になります。

特にEscキーはちょっとでも離れていてほしいですね。

押し間違えるとF1キーになるとか嫌なので。。。

数字キー列

完全に好みだと思いますが、数字の6が左側にあります。

私は右手で押したいのでちょっと困りますが、この辺は個人差が大きいのでしょうがないですね。

最下段&親指キー

普通の英語配列ANSI)と比較するとAltキーの右側にFnキーが増えています。

自作キーボードに慣れた私には、親指キーが少なくて少し使いづらいですね。

日本語配列を普段使っている人にとっても少なく感じてしまうのではないでしょうか。

せめてもう少しだけFnキーが長ければ、右側のキーが2つに分かれていれば、親指キーとして便利に使用することができたのになあと思います。

まあ、あんまりキーが増えても普通の英語配列を使う人が使い方を想像できなくなってしまうと思いますので、この辺もしょうがないですね。

日本語配列の分割型が出れば解決するかも知れませんので、それに期待しておきます。

カーソルキー&右側キー

この辺りで気になるのは、なぜ「Home」キーが有るのに「End」キーが無いのか、です。

「↑」キーとの押し間違いを嫌ったんですかね。

3つにするなら上から「Delete」「PageUp」「PageDown」にしてくれれば違和感なかったと思うんですけどね。

「Home」キーが欲しいならちょっと大きくなってしまうかもしれませんが、こうしてくれたら良かったんですけども。

後述のロープロファイルケースを採用したことと関係あるかもしれません。

ロープロファイルケースなら今の配列でも(あんまり)気になりませんから。

キーキャップ

OSAプロファイルのキーキャップで、少し丸みを帯びて指にフィットする形状のキーキャップが標準搭載になっています。

ケースがロープロファイルタイプでスイッチが見えるモダンなデザインとなっているので、ちょっとレトロさを感じる丸いキーキャップと合っていないように感じます。

プラーが付属していますし簡単に抜けるので、気になるなら自分好みのものに変えちゃえば良いんです。

ちなみに付属のキーキャップは2つの色のプラスチックを組み合わせて印字としています。

そのため、キーキャップの印字が薄くなったりすることはありません。

ロータリーエンコーダ(ノブ)

左右上に一つずつ搭載しているので、使いようによっては非常に便利なものです。

最初はボリューム機能が割り当てられていますが、他にもいろいろな機能を当てることができます。

設定によってはスクロールからWebブラウザのタブ送りなどもノブで出来るので結構便利です。

ノブも質感がいいですし、ロータリーエンコーダもアルミシャフトの結構良いものを使っているため、感触も結構いいです。

ロープロファイルケース

キーキャップの項目でも少しだけ触れていますが、ロープロファイルケースとはケースがキースイッチ側面を覆わない形状です。

ゲーミングキーボードなどが採用するケースの形状ですね。

このタイプのケースは静音性やレトロさなどと引き換えに、LED発光時のキレイさや見た目の軽快さなどがメリットとなります。

ちなみに下の画像の7sProMaxなどがハイプロファイルのケースになります。

左右分割

Q11の最大の特徴は何といっても左右分割ができることですが、左右をくっつけて一体型キーボードっぽく使えるのも特徴です。

分割キーボードをいきなり使えるか不安な方は結構嬉しいのではないでしょうか。

分割キーボードに慣れない人がストレス溜めがちなポイントとしてよくあるのが、6、B、Yキーが左右のどちらに有るのか誤解して空振ってしまうことです。

左右をくっつけて一体型キーボードとして使うことが出来ると、少なくとも慣れるための練習と空振りを減らしたい本番を一瞬で切り替えることが出来ます。

いちいちシーンごとにキーボードを変えていては段々面倒になってきてしまうので、結構大事なポイントだと思っています。

しかし、Q11はこの点をあまり重視していないのか、左右間接続ケーブルが突っかかってしまいます。

USB-Cケーブルを採用しているので反対側につけちゃえばいいんですが、今度はあまり開けなくなります。

うーん、まあ、他のUSB-Cケーブルを買って使えばいいんですが、Keychronさんは左右を合わせて使うことを想定してなかったのですかね。

それなら左右が合体する形状とせずに、Qシリーズっぽく打鍵感を高める仕組みを導入したほうがいいのでは?と考えてしまいます。

ちなみに左右それぞれ片方PCに繋いで使用可能です。

意味はあまりありませんが、PC側の二つのUSBポートを使用してそれぞれ繋ぐことも可能でした。

モデファイアキー(コントロールキーやシフトキーなど)は左右で連動して使えるのですが、レイヤーキー(ノートパソコンでよくあるFnキーなどの、ほかのキーの効果が変わるようなキー)が左右で連携してくれないので本当に意味はないですけども。

また、自作キーボードでは左右間接続ケーブルがPCのUSB接続ケーブルと違う場合が多いので左右それぞれのUSB端子のどちらでもPCと接続できました(同時に複数のPCで使えるわけではない)が、このQ11の右側キーボードは左右間接続とPC接続のコネクタが共通なので、右側でPCと接続して分割キーボードとして使うことはできません。

私がモバイル機として愛用するSurface Proなどは右側にUSB端子があるので、ぐるっとケーブルを回す必要が出てきてちょっと不便だなあと感じます。

※おそらく左右接続した状態で同時にPCに繋がないようにするための工夫かと思われます。

打鍵感&打鍵音

打鍵感は可もなく不可もなく、といったふうに感じました。

この辺は感覚ですから、好みかどうかは人それぞれです。

私はセットにGateron G Pro Redスイッチを選びましたが、このスイッチは軽くてスムーズでいい感じのスイッチだと思います。

Q11にこのスイッチを装着した時の打鍵感は、最近流行りの柔らかめの打鍵感ではありませんし、低くコトコトしたような打鍵音でもありません。

それでも指が痛くなるような硬い感触ではありませんし、反響音もややしますがすごく響くわけでもありません。

裏ブタを開けて内部を開けてみると、薄くて密度の低いスポンジが一枚軽くかけてあるだけでしたので、これを密度の高いスポンジに変えてきっちり詰めてあげるともう少し反響音が減るのかなあと思います。

スイッチを外さないとこれ以上の分解ができなかったのでやっていませんが、どこかで完全分解して解説したいと思います。

MacWindowsのキーマップを簡単に切り替えられる

たまに私のDiscordやツイッターのDMなどで「このキーボードってMacでも使えますか?」と聞かれます。

どんなキーボードでもWindowsで使えればMacでも使えますが、一部のキーの役割が異なったりします。

Q11ではその一部のキーも予備として含まれているので、キーキャップを交換すればどちらに対応することもできます。

また、左手側奥にスライドスイッチがあり、そこでMac用のキーマップとWindows用のキーマップを切り替えることができます。

おそらくこれは分かりやすくユーザに説明するための工夫で、このスライドスイッチの本当の役割はMacWindowsに限らず、2つのキーマップをスライドスイッチによって切り替えるためのものです。

どういうことかというと、Q11はデフォルト状態だとレイヤーを4つ持っています。

このレイヤーを駆使して色々な機能を少ないキーで実現することができますが、このQ11は4つのレイヤーを2つに分け、それぞれのキーマップで2つずつ利用するケースを想定しているようです。

スライドスイッチにはMac/Windowsと書かれていますが、Windows PC1/Windows PC2でも問題ありませんし、Mac PC1/Mac PC2でも問題ありません。

私は複数のキーマップを手元のスライドスイッチで切り替える使い方をしないので、4つのレイヤーをすべて1つのキーマップで使っています。

そういう用途の時はこのスライドスイッチは完全に使わないスイッチになりますが、まあ問題があるわけではありません。

ただ、スライドスイッチが常にMacのほうになっているのはちょっと気になります。(Mac嫌い)

キーマップを自由に変更できる

このKeychronは自作キーボードにも使われるオープンソースのキーボードファームウェアであるQMK Firmwareを使用しているため、非常に幅広いキーマップのカスタマイズができる点も特徴です。

とはいえ多少のキーマップの変更だけで、がっつりカスタマイズをしないぞという方はVIA Configuratorを使用すると簡単にキーマップを変更できるのでお勧めです。

ただ、ちょっと変わったことをしたいとなるとソースコードからの変更が必須です。

github.com

また、キーマップ変更ツールであるRemapはQ11のキーマップ変更は使用不可能なようです。

日本語配列を利用する身としては、日本語配列の記号で表示できるRemapが便利なので、使用不可だとかなり不便ですね。

後は、なぜかわからないのですが、マクロ機能(決まったキーコードをワンキーで送信するような機能)が使えないようです。

私はマクロを結構使うので、使えないのはちょっと不便ですね。

※パスワードなどをマクロに設定するのはセキュリティ的に推奨できません。

光る

光ります。

まるでエレクトリカルパレードです。

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おわりに

自分の研究のために買ったQ11ですが、結構勉強になりました。

分割キーボードとしての工夫や対策などがちょっと明確になりましたので、ケースの厚みや左右分割部分の設計などに役立つデータについては別途まとめたいと思います。

 

本記事に対して問い合わせや要望があれば遠慮なく私のDiscordまでどうぞ。

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この記事はKeychron Q11で書き始め、挫折したのでNaked64SFv3 Proto3とErgoArrowsPro Proto2で書きました。