自作キーボード温泉街の歩き方

自作キーボードの世界は温泉に例えられます。自作キーボードの温泉街の楽しい歩き方を紹介します。

40%分割キーボード『GoFortySplit Aluケースセット』ビルドガイド

こんにちは。自キ温泉ガイドのサリチル酸です。

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今回は私の設計した自作キーボード用ケース『GoFortySplit用Aluケース』の組み立て手順書、ビルドガイドを書きたいと思います。

はじめに

キットをお買い上げ頂いた方、お買い上げありがとうございます。

拙い部分もあると思いますが一所懸命にガイドしますのでよろしくお願いします。

GoFortySplitとは

本キーボードは私の「40%キーボードを楽しもう」というGoFortyコンセプトから派生したGoFortySplitプロジェクトの40%の分割型キーボードです。

40%かつ分割型に入門する方にオススメのキーボードとなっております。

是非楽しみながら活用ください。

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前置き

本ケースはアルミと真鍮を削り出し、パームレストポリカーボネートを削り出して作っております。

アルミと真鍮は金属ではありますが、柔らかい素材です。

何かと強くぶつけると結構簡単に傷がつきます。

サイドバーに使用している真鍮は表面処理(サンドブラスト及び塗装等)を施しておりません。

真鍮は指紋などで汚れたまま放置するとサビなどで表面がくすんでしまいます。(5円玉と同じ)

エージングとして変化を楽しむか、こまめに拭いて、くすんできたらピカールなどで磨くと輝きが復活します。

私個人としてはキーボードはあくまで文字を入力するための道具なので、大事にしすぎても本分を発揮できないと思っています。

適度に可愛がりながら使用していただけると幸いです。

製品についてのお問い合わせは私のDiscordまでどうぞ。

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GoFortyコンセプトとは

本ケースは私の「40%キーボードを楽しもう」というGoFortyコンセプトに基づいて設計されました。

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ケースセットの中身を確認する

以下はGoFortySplit用Aluケースのセット内容です。

内容物一覧

品目 数量
スイッチプレート 2
基板 2
GoFortySplit用Aluケース 2
サイドバー
O54GoS用は真鍮製4本
R49GoS用は真鍮製2本、3Dプリンタ製2本
4
マウント用フォームシール 16+
プレートフォーム 2
PCBフォーム 2
ケースフォーム 2
ボトムカバー 2
M3ネジ(7mm) 8
レンチ 1
USBコネクタカバー 1

万が一部品が足らない場合、お手数ですが以下の方法でご連絡ください。

購入先が遊舎工房様の場合:遊舎工房のお問い合わせフォームよりご連絡ください。

購入先が私のBoothショップの場合:Boothのメッセージをいただけましたらすぐに発送対応いたします。

購入先が私のKeeb-On!ショップの場合:Keeb-On!サイトのお問い合わせフォームよりお問い合わせをいただけましたらすぐに発送対応いたします。

スイッチプレート

本ガイド内では『スイッチプレート』と呼びます。

スイッチを嵌めて使用します。

O54GoSのものは左右で共通ですが、R49GoSは左右別となっています。

基板

本ガイド内では『基板』と呼びます。

全ての部品がすでに実装され、ファームウェアが書き込まれています。

O54GoSとR49GoSは両方とも左右別となっています。

基板表面(文字が書かれている面)にLeftまたはRightと記載されています。

GoFortySplit用Aluケース

本ガイド内では『ケース』と呼びます。

電着塗装にて塗装されているアルミ製のケースです。

スイッチプレート及び基板を収めて使用します。

2つ付属しますが、両方とも同じものとなっています。

サイドバー

本ガイド内では『サイドバー』と呼びます。

O54GoSでは真鍮製のものが4本、R49GoSでは真鍮製のものが2本、黒い3Dプリンタ製のものが2本同梱されています。

真鍮削り出し製になっていますが、サンドブラスト加工を含む表面処理をしていませんので削ったままの線傷がありますし、触ったまま放置すると錆びます。

そのサビを真鍮独特の風合いだと受け入れるかどうかで変わりますが、輝きを保ちたい場合は定期的にピカールなどで磨いてください。

マウント用フォームシール

本ガイド内では『フォームシール』と呼びます。

スイッチプレートの裏側とサイドバーの裏に貼り付けます。

合計16個以上入っています。

プレートフォーム

スイッチプレートと基板の間に挟むスポンジフォームです。

本ガイド内では『プレートフォーム』と呼びます。

薄いながらもスイッチプレートと基板を密着させ、打鍵感を向上させます。

PCBフォーム

基板に実装されている部品に合わせてカットしてあります。

すごく細い部分があり、レーザーカッターの熱によって一部が切れていたりする場合もありますが、重ねて使用するので問題は有りません。

切りきれずつながった部分はある程度外しておきますが、残っている場合は軽く指で引っ張って外してください。

ケースフォーム

本ガイド内では『ケースフォーム』と呼びます。

ケース底面に敷くための薄手のフォームです。

左右で同じものとなっています。

ボトムカバー

本ガイド内では『ボトムカバー』と呼びます。

ケース裏面に取り付けるためのレザー素材です。

シンセティックレザーという合皮ですが、かなり頑丈で劣化も少ない素材です。

レーザーカッターで彫刻してカットするので焦げ跡などがある場合がありますが、軽く水拭きをしたり消しゴムで擦ると落とせます。

M3ネジ(7mm)

サイドバーをネジ止めするのに必要です。

M3ネジ(7mm)が8個入っていますので確認してください。

レンチ

ネジを回すために必要です。

2.5mmのものが1個入っています。

USBコネクタカバー

本ガイド内では『USBコネクタカバー』と呼びます。

以下の記事にもあります通り、左右分割キーボードの左右を同時に別のPCにつなぐと良くないので、このUSBコネクタカバーで使わない方を埋めておいてください。

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(オプション)パームレストセットの中身を確認する

以下はパームレストのセット内容になっています。

内容物一覧

品目 数量
パームレスト本体 2
ゴム足 8

万が一部品が足らない場合、お手数ですが以下の方法でご連絡ください。

購入先が遊舎工房様の場合:遊舎工房のお問い合わせフォームよりご連絡ください。

購入先が私のBoothショップの場合:Boothのメッセージをいただけましたらすぐに発送対応いたします。

購入先が私のKeeb-On!ショップの場合:Keeb-On!サイトのお問い合わせフォームよりお問い合わせをいただけましたらすぐに発送対応いたします。

パームレスト本体

ポリカーボネート削り出しのパームレストで、キーボード本体にカバーとして被せることでホコリの侵入を防いだり、一時的な物置に使用できます。

表面にサンドブラスト加工を施していますので半透明になっています。

傷や手の脂が目立ちやすい素材なので、あまり神経質にならずに使っていただくのが良いと思います。

ゴム足

本ガイド内では『ゴム足』と呼びます。

パームレストの四隅に貼り付けることで滑り止めとなるだけでなく、カバーとして使用した際のGoFortyケースへの傷を防ぐことが出来ます。

キット外で必要なもの

品目 数量
キースイッチ 54or49
キーキャップ 54or49
左右間接続用USBケーブル(C to C) 1
PC接続用USBケーブル 1
持ち運び用ゴムバンド 2

キースイッチ 

本ガイド内では『キースイッチ』と呼びます。

O54GoS及びR49GoSはKailh社のChoc v2スイッチに対応しています。

O54GoSは54個、R49GoSは49個必要です。

打鍵音を気にせずタイピングできる場合はWhite Rainスイッチを、打鍵音が気になる場合はDeep Sea Silent Islet Switchを選択することをオススメします。

私はこの2つのキースイッチがとても気に入っています。

Kailh Choc v2 White Rain Switchkeeb-on.com

Kailh Choc v2 Deep Sea Silent Islet Switchkeeb-on.com

キーキャップ

本ガイド内では『キーキャップ』と呼びます。

O54GoS及びR49GoSはCherryMX用のキーキャップをつけることは出来ますが、打鍵時にスイッチプレートまたはスイッチに衝突してしまう場合があります。

少なくともAcid CapsおよびGMKはスイッチに衝突してしまうように見えます。

衝突しても使えないことは有りませんが、打鍵感は悪くなってしまいます。

私のオススメはXVX Low Profileキーキャップです。

刻印は一致しませんが安いですし、ロープロファイルスイッチ採用と相まってキーボード全体を薄く仕上げることが出来ます。

※XVXキーキャップはロープロファイルのものとそうでないものがありますので、間違えないようにご注意ください。

左右間接続用USBケーブル(C to C)

O54GoS及びR49GoSの左右間のデータ送信はUSB-C to Cケーブルで行います。

充電用ケーブルではなく、データ転送を行えるケーブルを使用してください。

PC接続用USBケーブル

本ガイド内では『USBケーブル』と呼びます。

O54GoS及びR49GoSとPCとをつなぐために必要です。

USB Type-Cコネクタがついているものを選択してください。

こちらも充電用ケーブルではなく、データ転送を行えるケーブルを使用してください。

持ち運び用ゴムバンド

パームレストカバーを使用して持ち運ぶ際は以下のゴムバンドを利用しておくと、バラけなくて可搬性が向上します。

必要工具

本キットの組み立てにハンダごては不要なので、ドライバーと両面テープだけ用意してください。

ベッセル(VESSEL) クッショングリップドライバー 〈細軸タイプ〉 +0×75 610

ベッセル(VESSEL) クッショングリップドライバー 〈細軸タイプ〉 +0×75 610

 

両面テープの銘柄の指定はありませんが、私は以下の両面テープを使用しています。

※後でカバーを着せ替えたい場合は粘着力の低い両面テープを使用し、貼付ける長さを短くしてください。

 

必須では有りませんが、キーキャップやキースイッチを抜くときにはプラーがあると便利です。

組み立て

いよいよ組み立てです。

まとまった時間は用意できましたか?

ゆっくりやっていきましょう。

プレートフォームを基板に敷く

プレートフォームを基板に敷きます。

スイッチ穴と基板のスイッチの取り付け部品の位置が合っていることを確認してください。

スイッチプレートを重ねる

スイッチ穴がプレートフォームの穴に合うように重ねます。

O54GoSの場合、親指キーの部分に気をつけてください。

R49GoSの場合、裏面には模様がなく、プレートの左右端にGoFortyケース取付時に貼り付けるフォームシールの形が印刷されています。

キースイッチを取り付ける

スイッチを取り付けます。

※スイッチの種類によってはそのままでは取り付けられない場合がありますので、この項目の最後の注意事項を参照してください。

スイッチプレートの製造誤差により、穴がタイトになってしまい差し込むのが硬い場合がありますが、奥までキッチリ差し込み、スイッチプレートに密着させます。

このとき、スイッチの端子が曲がっていないことと、差し込むスイッチの端子と基板のソケット端子の位置と合っていることを確認してください。

スイッチの端子が曲がっていたりする場合は指でまっすぐに治してください。

まっすぐに治せなかったスイッチは使用しないでください。

注意:3ピンあるスイッチの場合

Choc v2スイッチには3ピンのものが存在します。

Choc v2のRed、Brown、Blue、Silentなどです。

この3本目のピンは特に電気的な役割を持っておらず固定用の物となっているため、取り付けに際して干渉する場合は切り取ってから取り付けてください。

干渉箇所

テストする

スイッチが取り付けられたら、PC接続用のUSB-Cコネクターを使ってPCにつなぎ、反応するかテストして下さい。

※左右間接続用コネクタにケーブルを繋いでもPCはハードウェアとして認識できませんので、接続しないようにしてください。

PC接続用コネクタ

左右間接続用コネクタ

入力テストにはRemapのテストモードなどが便利です。

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スイッチプレート裏の両端にフォームシールを貼り付ける

スイッチプレートの裏側両端にフォームシールを貼り付けてください。

R49GoSは裏側にフォームシールの形状の印刷がありますので、それを参考に貼り付けてください。

O54GoSは印刷がないので、以下の写真を参考に貼り付けてください。

ケースフォームを敷く

ケースフォームのUSBコネクタ用の切り欠きをケースの左上に合わせて敷きます。

(オプション)PCBフォームを敷く

ケースフォームと同じように、USBコネクタ用の切り欠きをケース左上に合わせて重ねて敷きます。

ケースに取り付ける基板にPCBフォームを合わせてみて、その後にケースに敷くようにしてください。

Tips:フォームによる打鍵感の調整について

ケースフォームを増減させることで打鍵感を調整することが出来ます。

ケースフォームのみのデフォルト状態ではケース内で音が反響するため、やや音が大きくなります。

ケースフォームを除いてPCBフォームのみの状態にする(下の写真状態)と打鍵時に沈み込むようになり、柔らかい打鍵感になります。

ケースフォームとPCBフォームを入れた状態が最も打鍵音が静かになり、打鍵感もしっかりしたものになります。

下の動画の打鍵音はフォームをすべて入れた状態です。

youtu.be

youtu.be

※フォーム無しの状態はしなりすぎてオススメできません。

ケースに挿入する

USBコネクタの部分がギリギリなので、USBコネクタ部分を先にケースに収めるように斜めに挿入してください。

無理に挿入しようとするとケースの破損につながりますので、ゆっくりと行ってください。

傷が心配な場合はマスキングテープをケース左上のUSBコネクタ部分に貼って作業すると安心です。

サイドバーにフォームシールを貼る

サイドバーの裏側の凹みにフォームシールを貼り付けます。

サイドバーを取り付けてネジ止めする

サイドバーをスイッチプレートの左右に置き、7mmのM3ネジを入れて締結します。

この際に注意する点としては、締めすぎないことです。

ケースの上面とツライチ(指で触っても段差を感じないように面を揃えること)まで締めこんで、それ以上は締めないようにしてください。

ボトムカバーに両面テープを貼り付ける

ボトムカバーに両面テープを貼り付けます。

特に両面テープの指定はありませんが、私は以下の両面テープを使用しています。

※後でカバーを着せ替えたい場合は粘着力の低い両面テープを使用し、貼付ける長さを短くしてください。

ボトムカバーをケースに貼り付ける

※2024年10月発送以降のバージョンでは四隅のネジ穴がないバージョンを採用しているため、ネジ止めはしなくても大丈夫です。

両面テープの保護紙を剥がしてケースに貼り付け、ネジ止めします。

キーキャップを取り付ける

自分の求めるキーマップに応じた配置でキーキャップを取り付けます。

USBコネクタカバーを取り付ける

使わない側のPC接続用コネクタにUSBコネクタカバーを挿入します。

個体差により緩いかもしれませんが、持ち運ぶ際に落とさないように気をつけてください。

(オプション)パームレストの四隅にゴム足を貼り付ける

パームレストの裏の四隅の凹みにゴム足を貼り付けます。

完成!

お疲れ様でした!

達成感とともに、ゆっくりと自作キーボード温泉に浸かってください。 

使用上の注意

  • USBケーブルの抜き差し時にUSBコネクタを剥がさないように、力加減に十分注意して下さい。
  • 以下の記事を参考に、PC接続時には十分注意してください。

salicylic-acid3.hatenablog.com

動かない時に

以下のサイトがトラブルシューティングについて網羅していますので参考にしてください。

scrapbox.io

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おわりに

ビルドガイドはいかがでしたでしょうか。

分かりやすかったでしょうか。

なるべく組み立てやすい様に設計したつもりですが、なにかわからないことが有れば遠慮なく私のDiscordまでどうぞ。

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本記事はO51Go with GoFortyケースで書きました。