自作キーボード温泉街の歩き方

自作キーボードの世界は温泉に例えられます。自作キーボードの温泉街の楽しい歩き方を紹介します。

設計した自作キーボード『Naked64SF』の自慢をするよ!

こんにちは。自キ温泉ガイドのサリチル酸です。

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今回はNakedシリーズの最新作、というか自分用にこだわって設計したNaked64SFの自慢をしたいと思います。

 

 

Naked64SFとは

私が私のために設計したキーボードがNaked64SFです。

持ち運びや外での使用も想定したNaked48LED、60BMPとはコンセプトが違い、私が私の家の中で使うにはこういうのがほしいな、という要素と実験的な要素を煮込んだ仕様になっています。

そのため、他のNakedシリーズよりアクが強い外観、仕様になっています。

※本当はNakedシリーズではなく別の名前も考えていましたが、販売予定がなかったので「ま、いっか」と名前を付けた、というネーミングだったりします。

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特徴を簡単にまとめると以下になります。

  1. 一体型である
  2. キー数が多めで大柄である
  3. 逆ハの字に広がったキーレイアウト
  4. 一段下がった最下段
  5. 途中で折れ曲がるアングルスタッガードレイアウト
  6. アルカンターラ製のカバーが装着可能
  7. 打鍵感を好みに合わせてカスタマイズできる設計
  8. CherryMX互換スイッチ、KailhChocスイッチに両対応
  9. LEDによってレイヤーの状態が分かるインジケーターを採用
  10. LEDによって紋様が浮かび上がるギミック
  11. 単4電池2個によるBluetooth接続
  12. カバーと同素材のパームレスト
  13. 外部デバイスを3.5mmステレオミニケーブルにて接続可能

自分用なのでとにかく独特な特徴が多いです。

それぞれの詳細について説明していきます。

一体型である

今はそこまで珍しく無くなりましたが、自作キーボードの殆どは分割型が太宗です。

しかし、一体型は分割型と比較して様々な利点があります。

部品点数を抑えられる点(特にBLE Micro Proに効果あり)、打鍵感が良い点、見た目がカッコいい点です。

見た目は私個人の好みです!

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はー、かっこよ!

キー数が多めで大柄である

Naked64SFは自作キーボード温泉街で見られるキットにおいて、かなりキー数が多く(≠最大)本体もそれ以上に大きいです。

これは私が電話中にレイヤー移動をせずに数字を打ち込めるように数字キーが欲しいこと、無線使用時に経済的な単4電池を内蔵できること、カーソルキーのデフォルトレイヤへの配置を優先した結果、仕方なく大柄になったという流れです。

どのくらい大きいかと言うと、普通のテンキーレスキーボードと同じくらいの大きさです。

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東プレのREALFORCE 91UBK-Sとの比較

テンキーレスは80%なので、60%のNaked64SFは無駄に20%大きいことになります。

大鑑巨砲主義はいつの時代も男のロマンです。

やったぜ、これで勝てる!(負けフラグ

結果的に大型になったおかげで様々な利点を得たので、うん、計算通りです。

逆ハの字に広がったキーレイアウト

キーボードによる打鍵時の疲れを軽減するために、肩を開いた姿勢をとるためにはキーボードを左右分割し、肩から前に手を出した位置にキーボードを置くか、脇を閉めずにタイピング出来る角度をつけるか二択になります。

私は公私ともにあまり広く机を使えない環境で作業するので、Naked64SFでは後者、逆ハの字のレイアウトを採用することにしました。

このレイアウトは左右から手を回すことで狭いスペースでも分割キーボードのように肩を開いて打鍵することができます。

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左から、分割キーボード、逆ハの字型一体型、通常の一体型のイメージ図

私個人の使用シーン的に、固定された姿勢でキーボードで打ち込む時間よりもマウスで操作する時間やカーソルキーで操作する時間の方が長いため、マウスorトラックボールの位置をなるべく近くするためにこのような形の一体型にしました。

トラックボールを真ん中に置く派もいますが、私は右側に置きたい派です。

一段下がった親指キー行

親指キーを少しだけ下げていることで、親指の短い人(≠指の短い人)が親指キーに届きづらい問題の解決も図っています。

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また、親指のホームポジションは2uと長いキーなので、マウスから手を戻したときに少々ホームポジションがズレても打鍵しやすくなっています。

2Uのキーを採用すると親指で押せるキー数は少なくなってしまいますが、大多数の人が3キーを上限に考えていることから、押しややすさや間違えなさを優先しました。

※ちなみに私は主に2キー+たまに3キー目を押す派です。

途中で折れ曲がるアングルスタッガードレイアウト

アングルスタッガードは界隈ではAlice配列と呼ばれる、薬指と小指の間でキーの角度を変える配列のことです。

※というかアングルスタッガードは私が勝手に呼んでいるだけで、Alice配列と呼ぶのが自キ温泉街では一般的です。

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ゆるキーで触らせていただいたオリジナルAliceレイアウト

この配列の効果は大きく3点あります。

  • 小指を薬指から離せること。

手を眺めていると分かるのですが、人の手は力を抜いた状態だと若干の隙間ができるようになっています。

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力を抜いた状態(左)と意識して締めた状態(右)

水を掬うように指を閉じた状態は力が入った状態で、それだけで手の腱が緊張し、疲れがたまっていきます。

特に薬指と小指の間、中指と人差し指の間が開きやすく、通常のキーボードでは意識して締める必要がありました。

このアングルスタッガードレイアウトでは小指担当キーの角度を変え、薬指から少し離してあげることでより自然な使用感になります。

Naked64SFでは約5mm離れており、とても自然な体勢で打鍵できます。

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ちなみにAlice配列は約10°の傾き、Naked64SFは20°の傾きなので、厳密にAlice互換というわけではありません。

まあRowStaggeredをベースにしたAliceとOrtholinearをベースにしたNaked64SFは思想から全く異なるので、まあそこはそれ。。

  • 小指の可動を大雑把にできること。

これはやってみて分かったのですが、手の向きから見ると、小指のキーは外側に傾いています。

キーキャップは正方形ですので、傾けると菱形になり、上下左右の幅が大きくなり、斜め方向は逆に小さくなります。

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小指は精密な動きが苦手な指なので、動作方向に大きいキーだと押し間違えが少なくなります。

  • 格好いい

主観ですが、傾いていることにより、薬指と小指の間部分の装飾が可能になります。

花がチラッと見えるところがNaked64SFのチャームポイントです。

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アルカンターラ製のカバーが装着可能

Naked64SFも他のNakedシリーズの特徴であるアルカンターラ製のカバーを装着できるよう設計しています。

カバーを装着することで他のNakedシリーズのように蓋はありませんが、キーボード内部へのホコリの進入を防ぎ、見た目をオシャレにしてくれます。

色も好みに合わせて選択できるように3色用意しました。

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※カバーの下のプレート類は全て赤色です。カバーだけのカラーバリエーションです。

 セカンドロットでは赤もしくはマットブラックの基板になります。

なお張り付け難易度が高いので専用の取り付けシールを用意しました。

ファーストロット購入者で欲しい人は無料で送るので、声をかけてください。

打鍵感を好みに合わせてカスタマイズできる設計

打鍵感とは、音と感触によって成り立つ官能要素で、同じキースイッチ、キーキャップでもキーボードが違えば打鍵感は変わってくる繊細な要素です。

高級キーボードとよばれるキーボード達は見た目もさることながらこの打鍵感もかなり拘って設計されていますし、実際かなり良いです。

thomasbaart.nl

scrapbox.io

今までの自作キーボードはコスト的に優位なプレートサンドイッチ構造が主で、打鍵感は割り切りの対象でした。

そんな流れの中、打鍵感に拘る作例やキットが登場しだしました。

打鍵感に拘るというと、PCB製のプレートではなくアルミプレートや3Dプリンタの筐体を採用する例が見え始めましたが、私はPCBプレートがデザインの面で自由度が高く好きなので、なんとかPCBプレートのまま打鍵感を引き上げようと色々試行錯誤しました。

その試行錯誤の結果、以下の知見が得られました。

  • スペーサーの量を変化させることで打鍵感を変化させられる。

スイッチの種類によってキーボード全体に求められる剛性は変わるとされています。

例えばタクタイルやクリッキーでは剛性を高くすることでスイッチの感触を強く感じられるようになります。

逆にリニアでは底付き時に硬さを感じてしまうので、剛性は程々で柔らかい方がよいとされています。

これが普通っぽい見た目の60%キーボードキット(DZ60やDH60、Tofu、Tadaなど)のケースやプレートの素材の多様さに繋がっているのですが(スチールやステンレス、アルミは硬い方、真鍮やポリカーボネートは柔らかい方)Naked64SFはこれをスペーサーの本数によって擬似的に再現できるようにしています。

Naked64SFはスペーサーを最大24本(トッププレートとボトムプレートの間の本数)入れられる設計にしています。

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一般的な分割型は両手で合計10本程度なので、Naked64SFが破格の多さである事が分かります。

ユーザーは16~24本の間で調整することで好みの打鍵感に調整することができます。

  • 重さは正義。トッププレートと実装プレートの裏に鉛板を仕込むことができる。

鉛は振動減衰特性に優れますし、安価でハサミで簡単に切れるのでウェイトとして仕込むには最適です。

Naked64SFの特徴の1つである模様が入っているパームレストのような場所の裏に仕込みます。

持ち運びはややツラくなりますが、打鍵音は低く上質になりますし、強く打鍵してもビビることがなくなります。

  • 振動は全体で共振させずに分散させる。キースイッチのPCB固定ピン用の穴を広げる。

振動を抑制するという観点において、共振は避けたい現象です。

振動が伝わる範囲を限定するため、トッププレートと実装プレート間の固定を弱めるたスイッチのPCBマウント用の穴を広げました。

これにより振動は各プレート間で分散し、仕込んだウェイトが振動を吸収しやすくなります。

また、当然ですがスイッチの取り付けもしやすくなります。

※逆に外れやすくなって良くないんじゃ?という不安もあると思いますが、PCBマウント用のピンなのでプレートマウントには本来必要ないものですし、PCBマウント用ピンがない3ピンのスイッチと同様になるだけです。

  • 実装プレートがボトムプレートに当たる音と振動を低減するために布を挟む。

先ほどトッププレートと実装プレートの結合を緩くしましたが、これだけでは実装プレートとボトムプレートが一部(主にソケット)接触して不快なノイズを発生させる可能性があります。

それを防ぐため実装プレートとボトムプレートの間に挟み、共振を防ぐ布を用意しました。

この布は薄いながらも起毛されているものを採用しているので、打鍵音の高音部を吸収し、カチカチという高い音からコトコトという低い上質な音に変えます。

  • サンドイッチ構造の隙間を開口させずにカバーで覆うことで無駄な音を減衰させる。

Nakedシリーズの特徴としてホコリから守るカバーを展開してきたのですが、副次効果として開口部から漏れる音が低減される事が分かっています。

このNaked64SFもカバーを採用していますので、打鍵音に対する好影響があります。

  • スタビライザーも騒音や違和感の元なので、GMKスタビライザーをオプションで用意。

スタビライザーは原価的にも高いものですし、別に手に入れようとすると高いのでキットに含むようにしています。

その上でGMKスタビライザーをオプションで用意する事で、後で自分で揃えるよりもコストを圧縮できるようにしています。

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百聞は一見にしかず、というより百文は一聴にしかず、なので聞いてください。

 

 

CherryMX互換スイッチ、KailhChocスイッチに両対応

使う人もいるかなーと両方対応にしましたが、あまり需要がなさそうなのでセカンドロットではMX専用に変更しています。

個人的にはchoc好きなんですけどね。

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LEDによってレイヤーの状態が分かるインジケーターを採用

押している間レイヤーが切り替わるキーならレイヤーの状態は分かりやすいのですが、次押すまでレイヤーが切り変わり続けるトグル式のレイヤー切り替えを使う場合、今オンなのかオフなのかを分かりやすくするインジケーターがあると迷いません。

このインジケーターを採用することを前提として、私が使うSalicylic配列ではトグル式の切り替えを三種用意しています。

トグル1:マウスレイヤーへの移動

一回押すとカーソルキーがマウスキーに変化します。

普通にパソコンをやっていると「何に使うの?要らなくね?」となると思いますが、Androidなどのスマホを操作するときに存外便利なので重宝しています。

トグル2:ブラウザレイヤーへの移動

ダラダラブラウジングするときに使います。

あらかじめ気になる記事を別タブで開いておいて、読んでは閉じるを繰り返してブラウジングします。

私は凄く便利。

トグル3:ファンクションロックレイヤーへ移動

エスケープキーを短く2連打することで数字キー列をファンクションキーの列に固定することができます。

私は40%のcorneやcolosseum44も愛用しているので、文字を打つだけの時は数字キー列は使いませんが、ファンクションキーとモデファイアを組み合わせて欲しいときは結構あります。

そう言うときに「えーっとシフト押して、レイヤーキー押して、これだ」となるのが嫌だというレイヤーです。

これも意外と便利です。

動画

LEDによって紋様が浮かび上がるギミック

バックライトLEDを64個取り付けるのは苦行なので、少し趣向を凝らした光り方にしています。

各色で光り方(光の透過の仕方)を変えていて、

赤はシンボルとなっている花柄が浮かび上がるように、

青は市松模様が浮かび上がるように、

黒は光を透過せず大人な雰囲気になるようにしています。

 

単4電池2個によるBluetooth接続

Naked60BMPやせきごんさんの電池基板で採用するコイン電池(CR1632)でも十分な電池持ちなのですが、せっかくの大柄なボディなので単4電池を収納できるようにしておきました。

ただし単4電池ケースを入れてしまうとLEDテープが入らなくなってしまうので、セカンドロットではコイン電池(CR1632)を入れられる電池基板を標準搭載とし、電池基板をニッパーで切り取れば単4電池も収納できる形にしました。

カバーと同素材のパームレスト

個人的にMX互換スイッチ(いわゆる普通のスイッチ)を採用すると高さが増えてしまい、手首への負担が増えてしまいます。

そこで過去の記事でも紹介したパームレストを用意しました。

salicylic-acid3.hatenablog.com

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パームレストを使用し、逆チルト(手前側を高く、奥側を低く傾ける)することで手首への負担を最少化します。

パームレストが置けない場合、通常どおり奥側を高く手前側を低くすることでパームレストなしでも打ちやすくできます。

パームレストは同色のカバーとセットとし、完成品としてセット販売する予定です。

アルカンターラ生地は本当に手触りが良いので、ずっと触っていたくなります。

外部デバイスを3.5mmステレオミニケーブルにて接続可能

これはNakedシリーズ共通の特徴ですね。

NafudaとSetta21をステレオミニケーブルで接続することができます。

※Nafudaはまだファームウェアを作ってない(汗)

Setta21と接続することでキー数は合計85キーとなり、フルキーボードに近い使い心地となります。

販売について

Boothのサイトで販売予定です。

ファーストロットはおかげさまで全て完売しました。

セカンドロットは現在発注中で、8月上旬には販売を再開できる見込みです。

気になる方は入荷お知らせメールに登録をしておくといいと思います。

※ただし、セカンドロットはセット内容を大幅に変更しますのでご注意ください。

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遊舎工房のレンタルボックスでは販売が難しいサイズなので、群遊伝などの施策、ゆるキーや自キカツイベントなどのイベントでのみ触っていただけるような形になると思います。

 

おわりに

私がNaked64SFでやりたかったことや特徴や狙いなどはいかがでしたでしょうか。

この他にも各々こだわりポイントは書ききれないほど満載なので、是非その手で確かめてみてください。

 

質問、要望等は記事のコメント欄か私のTwitterへ気軽にどうぞ。

 

この記事はNaked64SFで書きました。