自作キーボード温泉街の歩き方

自作キーボードの世界は温泉に例えられます。自作キーボードの温泉街の楽しい歩き方を紹介します。

自作キーボード『7sKB』を設計した話をするよ!

こんにちは。自キ温泉ガイドのサリチル酸です。

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今回は私が新たに設計した7sKBというキーボードの説明をしたいと思います。

7sKBとは

7sKB(セブンスケービー)はキーボードに興味がある人なら大多数が知っているであろうプロ向けキーボードにインスパイアされた分割型キーボードです。

私の好みを具現化する事を優先したNakedシリーズとは全く異なるコンセプトで、いわゆる万人受けを企図した設計です。

もちろん万人受けと言っても妥協は一切無く、とにかく欲しい機能を積めるだけ積めたら機能が多すぎて説明が必要かと思われたので、こうして説明記事が必要かなと思った次第です。

特徴を簡単にまとめると以下になります。

  1. プログラマーが普段から使っているハッピーな配列
  2. MX互換スイッチとロープロファイルスイッチ兼用設計
  3. (MX版)キーキャップが安価に揃えられる配列
  4. ギリギリまで切り詰めたコンパクトなキーボード外形
  5. 左右を切り離さない状態では一体型として使用可能
  6. 左右のUSBのどちらに指しても正しく認識する機能に対応
  7. 電池を入れても厚さそのまま完全無線化に対応
  8. LPME-IOにより左右間通信のみ有線の無線化に対応
  9. LEDによってレイヤーの状態が分かるインジケーターを採用
  10. (choc版)2種のミドルプレートの採用による堅牢な打鍵感
  11. クラムシェル型ノートパソコン上に設置するブリッジプレートを用意
  12. ブリッジプレートとキーボードはマグネットにより連結し一体型として使用可能
  13. 他にもオプションパーツの構想あり

とにかく今思いつく限りの技術とアイデアをぶつけてみました。

それぞれの詳細について説明していきます。

プログラマーが普段から使っているハッピーな配列

ハッピーなハッカーが好んで使う配列を踏襲しています。

自作キーボードに興味はあるけど、変則配列でしばらく使いづらい期間を堪え忍ぶことは出来ない、という方のためにスタンダードなロウスタッガード配列としました。

QMKコンフィギュレータを利用すればWeb画面上で簡単にキーマップを変更することが出来ます。

config.qmk.fm

生成したキーマップはQMKツールボックスで書き込むことで、コマンドラインは一切不要で使い始めることが出来ます。

salicylic-acid3.hatenablog.com

加えて自作キーボードに慣れだした頃に湧き上がる親指へのキー割り当て欲求にも対応出来るように、親指のホームポジションも、人差し指のホームポジションである「F」「J」キーから左右同じ距離にキーを配置しました。

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更に内側のキーへは同じ距離なので、間違えづらく押しやすい配置となっています。

沸き上がる親指への欲求については、これも参考にどうぞ。

MX互換スイッチとロープロファイルスイッチ兼用設計

実装プレートとボトムプレートをMX互換スイッチとロープロファイルスイッチ(kailh社chocスイッチ)と兼用することで提供価格の低減を狙っています。

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沼人の長であるYohe氏のイラストです。可愛い!

(MX版)キーキャップが安価に揃えられる配列

自作キーボードを作ろうと思い立ち、部品を見始めて最初に感じることは、「キーキャップって高くない?」かもしれません。

高いキーキャップは発色や感触の良さなど、満足度は非常に高いものなのですが、そんなこと言われても財布は有限ですし、高いものは高いです。

加えてハッピーな配列を実現するためには結構特殊なキーが必要で、その辺のキーセットを買ってもまず揃いません。(特に1.5uのキーです。ハッピーな配列のためには通常の104キーセットに2つ追加で必要です)

そのような状況の中で、コスパの良さで愛用者の多いtai-haoのショップで購入できるセットに目を付けました。

tai-haoのショップでは豊富な品ぞろえの上に、揃えづらい1.75uや1.5uのキーも単品購入できるのでかなり安価に揃えることが出来ます。

送料は多少かかりますが、複数人での購入やまとめての購入で本当に安く購入できるのでオススメです。

shop.tai-hao.com

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この例では113キーセットの中に1.75uShiftキーが含まれているので1.75uShiftキーを別途購入していませんが、他の104キーセットには1.75uShiftキーが別途必要です。

また、104キーセットにはブランクキーも3個くらい購入したほうがかっこよく揃えられます。

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追跡番号を通知しない一番安い送料を選択すると合計1,578台湾ドル(約5,600円)くらいです。

送料は複数購入してもあまり変わらないので、ついでに買っていくとどんどん相対的に安くなります。(沼からの呼び声)

他にはこのようなキーキャップセットで7sKB(MX版)の対応が可能となっています。

shop.tai-hao.com

以下は1.75uShiftキーも必要です。

(できれば1uR1ブランクキーも3キーくらいあると良いです)

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他にもありますので、是非好みのものを探してみてください。

ギリギリまで切り詰めたコンパクトなキーボード外形

キーキャップの外形に沿って出来る限り余白部分がなくコンパクトになるように設計しました。

余白部分がないことでキーキャップが強調され、より持ち歩きやすくなるとともに、カスタム感が増していてカッコいいと思います。

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左右を切り離さない状態では一体型として使用可能

実装プレートのみですが、左右を切り離さない状態では一体型として使用できます。

この時、左右を繋ぐTRRSケーブルなどは必要有りません。

※Pro Microは2つ必要です。

まぁあまり一体型状態で使用する人はいないかもしれませんが、一体型である事は私のアイデンティティでもあるので主張したいところです。

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左右のUSBのどちらに指しても正しく認識する機能に対応

SPLIT_HAND_PINというキーボード側で左右を自動識別できるQMKの機能に対応したことで、左右どちらにUSBケーブルを指しても正常に使用できます。

ノートPCなど、どちらかにしかUSBポートが無い場合にとても便利です。

※右側につないだ場合、レイヤーインジケータは動作せず、イルミネーション表示となります。

電池を入れても厚さそのまま完全無線化に対応

BLE Micro Proを使用した無線化に対応しており、コイン電池(CR1632)を両側2個ずつ裏側に仕込むことが出来ます。

しかも厚みに全く影響を与えないので、中に電池が入っていることを全く感じさせず、スマートに無線化を実現できます。

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LPME-IOにより左右間通信のみ有線の無線化に対応

BLE Micro Proの生みの親であるせきごんさんの新作LPME-IOを使用することで、左右間はTRRSケーブルによる有線、パソコンやスマートフォンとの通信はBluetoothによる部分無線の構成が実現できます。

この構成とすることで比較的安価に無線が実現できるだけでなく、左右間のパラメータ調整も不要で確実な通信を実現できます。

また、TRRSケーブルであるにるぽケなどの自作ケーブルによるお洒落も楽しむことが出来ます。

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LEDによってレイヤーの状態が分かるインジケーターを採用

LEDによるライティングを実用的に楽しむためのインジケータです。

ゲーミングキーボードだけでなく、あなたのキーボードの設定を視覚的に表示することが出来るので、便利にLEDを楽しめます。

インジケータにはアクリルでカバーがしてありますので眩しくありません。

トグル式(次に押すまで有効になる方式)のレイヤーはこのインジケータがないとどうなっているか全く分からなくなるので、かなり便利です。

私は数字キー列をファンクションキーに固定するときに使用しています。

エクセル作業ではかなり便利です。

※QMKコンフィギュレータでの設定ではレイヤーインジケータ機能は有効になりません。その場合は、イルミネーションを楽しむことができます。

※BLE Micro Pro使用の場合はUSB接続時のみ発光します。

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(choc版)2種のミドルプレートの採用による堅牢な打鍵感

PCB製のアッパーミドルプレートとアクリルのアンダーミドルプレートを用意し、隙間を極力排した構造としました。

こうすることで剛性を向上させ、打鍵感で劣るchocの質感の向上と埃の侵入防止を図りました。

それでも打鍵感でMX互換の高級スイッチを上回った、とは言えないので、もう少しロープロファイルスイッチには頑張って欲しいですね…。

とはいえ分割型で有りながら一体型のNaked48LED、Naked60BMPに匹敵か凌駕する打鍵感を得られたので効果はあったと思います。

※同じ構造なら一体型の方が打鍵感がいい傾向があります。

加えてほぼつなぎ目の無いシームレスな断面は、個人的にはお洒落さを感じます。

手に取る機会がありましたら是非見てみてください。

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クラムシェル型ノートパソコン上に設置するブリッジプレートを用意

クラムシェル型ノートパソコンのキーボード上に外付けキーボードを配置することを一部では「尊師スタイル」と呼んだりしますが、7sKBは尊師スタイルをサポートします。

ブリッジプレートと名付けたオプションパーツをキーボードの上に置くことで、デフォルトのキーボードを傷つけず、快適なタイピングを行うことが出来ます。

が、すこし材質的に打鍵時に少し撓んでしまうので、材料の見直しを含めて検討中です。

とは言え機能自体に問題は有りませんので、問題なくお使いは出来ます。

1.6mmのPCBにすると重量が増えますし、少し考え中です。

試作が高い…。

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ブリッジプレートとキーボードはマグネットにより連結し一体型として使用可能

ブリッジプレートはただのプレートではありません。

Naked48LED、Naked60BMPのYukata-Coverでも使用しているマグネットホックを使用し、キーボード本体とプレートを強力に連結可能です。

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どのくらい強力にくっつくかにというと、逆さにしても落ちないくらいくっつきます。

この機能により一体型として安定感の有る打鍵が可能です。

他にもオプションパーツの構想あり

これは私の悪い癖でも有るのですが、7sKBもオプションパーツを多数検討中です。

予定している物は以下の通りですが、需要がないと計画で終わる物も有るかもしれません。

・右側のキーボードにカーソルキーを追加し、68キーとする右側キーボード

・(MX版の需要が多ければ)MX用ソケットへの対応

・(MX版の需要が多ければ)アクリルのトッププレートとボトムプレート、アンダーミドルプレートの作成

等々

皆さん興味が有ればTwitterなどでのコメントやBoothのいいねを押してくれるなどしてくれると調子に乗って設計する速度が上がるので、是非よろしくお願いします。

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販売について

Boothのサイトにて販売いたします。

booth.pm

おまけ:経緯について

沼人の会の長であるyohe氏の呟きがキッカケです。

そしてすぐにICが始まり挑戦が始まりました。

つまり、ロープロファイル用のハッピーな配列のキーボードを目指して作り始めました。

その後、yoheさんから「一体型状態で使えたらいいよね」「MX互換スイッチも使えたらいいよね」等の追加機能の無茶振りイデアを貰い、今の特徴を多く備えた形になりました。

おまけ:名前の由来について

普段手にして使い込む物の来歴を知ることは愛着に繋がります。

Nakedシリーズとは違い、Yukata-Coverを装着する想定ではなかったため、Nakedシリーズとして名付けることはありませんでした。

※そのままNakedとして名付けるとNaked63HKとなり、非常に分かりづらく香港味を増してしまうのでボツに。

ハッピーな配列に近いものを使用するものの、そのまま類似の名前を名乗ってしまうと色々アレなので由来をハッピーにする事にしました。

ちょうど私のキーボードの7作目であったこともあり、Seventh Heavenの7と沼(swamp)のsから今の7sKBと名付けるに至りました。

つまり沼七郎でも良いです。

おわりに

私が7sKBでやりたかったことや特徴や狙いなどはいかがでしたでしょうか。

この他にも各々こだわりポイントは書ききれないほど満載なので、是非その手で確かめてみてください。

 

質問、要望等は記事のコメント欄か私のTwitterへ気軽にどうぞ。

 

この記事は7sKBで書きました。