自作キーボード温泉街の歩き方

自作キーボードの世界は温泉に例えられます。自作キーボードの温泉街の楽しい歩き方を紹介します。

自作キーボード『JISplit89』を設計した話をするよ!

こんにちは。自キ温泉ガイドのサリチル酸です。

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今回は私が新たに設計したJISplit89というキーボードの説明をしたいと思います。

JISplit89とは

JISplit89(ジスプリット89)は殆どの人が慣れているキーレイアウトである「JISキーボード」をベースにした分割キーボードです。

7sKBと同じく万人受けを企図した設計で、7sKBよりもライトに自作キーボードに慣れてもらうためにカーソルキーやファンクションキーなども備え、普段のキーボードと同じように使えることを意図して設計しています。

左右をぴったり合わせることで左右でハッキリ分かれた運指に慣れていない人でもゆっくり慣れていくことが出来ます。

というわけで、本記事では以下を説明していきます。

  1. 普段から使っているJISキーボードに近いレイアウト
  2. MX互換スイッチ専用設計
  3. 組み立て後にスイッチがかんたんに交換できるソケットを採用
  4. PCBA(工場組み立て)により8割以上はんだ付け済み
  5. キーキャップが安価にキレイに揃えられる配列
  6. ギリギリまで切り詰めたコンパクトなキーボード外形
  7. 左右を切り離さない状態では一体型として使用可能
  8. 左右のUSBのどちらに差しても正しく左右を認識
  9. 電池を入れても厚さそのままで完全無線化に対応
  10. ファンクションキー列や右側のキー、キーブロッカーがフルカラーLEDで光る

キー数が増えた影響でLPME-IOを不採用だったりブリッジプレートをオプションで用意してなかったりと7sKBよりは機能面で落ちる印象があるかもしれませんが、それでもかなり高機能だと思います。

普段から使っているJISキーボードに近いのレイアウト

みなさんが普段から使うJISキーボード(縦長のエンターキーや変換無変換キーがあるキーボード)に近いレイアウトを採用しています。

ちょこっと変えているのは、Zの列のズレがやや緩やかになっているところです。

※HHKBの日本語配列版やFILCOのMajestouch MINILAも同様なので、そこまで変わっているわけでもないです。

自作キーボードに興味はあるけど、変則配列でしばらく使いづらい期間を堪え忍ぶことは出来ない、という方にまさに最適です。

QMKコンフィギュレータを利用すればWeb画面上で簡単にキーマップを変更することが出来ます。

config.qmk.fm

生成したキーマップはQMKツールボックスで書き込むことで、コマンドラインは一切不要で使い始めることが出来ます。

salicylic-acid3.hatenablog.com

加えて自作キーボードに慣れだした頃に湧き上がる親指へのキー割り当て欲求にも対応出来るように、親指のホームポジションも、人差し指のホームポジションである「F」「J」キーから左右同じ距離にキーを配置しました。

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更に内側のキーへは同じ距離なので、間違えづらく押しやすい配置となっています。

沸き上がる親指への欲求については、これも参考にどうぞ。

また左右をピッタリ合わせることで、分割型の障壁となっている「YキーBキーどっちで押す問題」について慣れるまでの猶予が生まれます。

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MX互換スイッチ専用設計

薄型のChocスイッチのキーキャップのJIS配列は非常に使いづらいことからMX互換スイッチ専用設計としました。

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よく見ると変なズレ方と変な形をしているエンターキー

組み立て後にスイッチがかんたんに交換できるソケットを採用

ソケットという部品を使うことでスイッチをはんだ付けせず取り外しが可能になり、組み立て後にも好みに合わせて簡単にスイッチを交換できます。

とりあえずタクタイルとリニア、クリッキーのどれが自分にあっているかわからなくても適当に揃えても、交換できる安心感があります。

PCBA(工場組み立て)により8割以上はんだ付け済み

PCBA(AはAssemblyで、PCB組み立てのことです)をすることによって89キー分のソケットとダイオードは既にはんだ付け済みとなっています。

残るはタクトスイッチやTRRSジャック、ProMicroのスルーホール部品と、LEDのみとなっていて楽に組み立てが可能です。

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キーキャップが安価にキレイに揃えられる配列

JISキーボードの最大のハードルは、キーキャップです。

JIS配列に準拠したキーキャップはかなり少なく、簡単に手に入るものは実質FILCOの交換用のものしかありません。

www.diatec.co.jp

他にもTai-Hao等のキーキャップメーカーでもISOエンターキーだけ売っていたりするのですが、数字列の記号刻印が違ったりするので、微妙に困ります。

数字列の記号など軟弱!という方には問題ないかもしれませんが、困る方は注意してください。

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微妙だけど、結構困る数字列の刻印(上がJIS、下がUS)

ギリギリまで切り詰めたコンパクトなキーボード外形

キーキャップの外形に沿って出来る限り余白部分がなくコンパクトになるように設計しました。

余白部分がないことでキーキャップが強調され、より持ち歩きやすくなるとともに、カスタム感が増していてカッコいいと思います。

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左右を切り離さない状態では一体型として使用可能

実装プレートのみですが、左右を切り離さない状態では一体型として使用できます。

この時、左右を繋ぐTRRSケーブルなどは必要有りません。

※Pro Microは2つ必要です。

まぁあまり一体型状態で使用する人はいないかもしれませんが、一体型である事は私のアイデンティティでもあるので主張したいところです。

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左右のUSBのどちらに指しても正しく認識する機能に対応

SPLIT_HAND_PINというキーボード側で左右を自動識別できるQMKの機能に対応したことで、左右どちらにUSBケーブルを指しても正常に使用できます。

ノートPCなど、左右どちらかにしかUSBポートが無い場合にとても便利です。

電池を入れても厚さそのまま完全無線化に対応

BLE Micro Proを使用した無線化に対応しており、コイン電池(CR1632)を両側2個ずつ裏側に仕込むことが出来ます。

しかも厚みに全く影響を与えないので、中に電池が入っていることを全く感じさせず、スマートに無線化を実現できます。

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ファンクションキー列や右側のキー、キーブロッカーがフルカラーLEDで光る

フルキーではありませんが、ファンクションキー列や右側の列、キーブロッカー(カーソルキーの左の隙間)の部分にフルカラーLEDを仕込むことができます。

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ソウルジェムも並べて光らせることもできるのです

他にもオプションパーツは、どうしようか

一体化状態で使いやすいように、左右がつながったアクリルプレートのデータは近日公開しようと思っていますが、他のオプションは検討中です。

LEDの光量を最大にするとキーブロッカーの部分が眩しいので、マットなアクリルを用意したりとかも考えています。

7sKBと違って結構大きいので、据え置きで使うならブリッジプレートもいらないと思うのですが要望があれば考えようかなと。

是非要望ください。

販売について

Boothのサイトと遊舎工房様の委託にて販売いたします。

salicylic-acid3.booth.pm

おまけ:開発の経緯について

沼人の会の戦友でもあり、私の好きなキーキャップクリエイターでもある荒涼(@Kou_Ryo_0115)氏から忘年会にて「仕事で使うJISキーボードで分割のやつを作って!」と言われ、ちょうど75%のJIS配列のキーボードを作りたかったので、意見を聞くことにしました。

要件は以下の通りです。

  • ファンクションキーが欲しい
  • カーソルキーの左上と右上にPageUpとPageDownが欲しい
  • インサートとプリントスクリーン、他にもできるだけキーが欲しい

この要件といくつかのレイアウトのやり取りを経て、JISplit89はできています。

おまけ:名前の由来について

最初は7sシリーズの派生ということで7sPlus+Jという名前で考えていましたが、もう少しわかりやすくなるようにとJISplit89にした経緯があります。

由来は単純にJIS(レイアウト)+Split(分割)+89(キー数)です。

おわりに

私がJISplit89でやりたかったことや特徴や狙いなどはいかがでしたでしょうか。

この他にも各々こだわりポイントは書ききれないほど満載なので、是非その手で確かめてみてください。

 

質問、要望等は記事のコメント欄か私のTwitterへ気軽にどうぞ。

 

この記事はJISplit89で書きました。