自作キーボード温泉街の歩き方

自作キーボードの世界は温泉に例えられます。自作キーボードの温泉街の楽しい歩き方を紹介します。

自作キーボードキット「Treadstone48」のレビュー

自作キーボード温泉街へようこそ。

こんにちは。駆け出し温泉プレゼンターのサリチル酸です。

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今回は去年の年末に購入したTreadstone48という自作キーボードキットのレビューです。

しかし、去年だけでキーボードを8枚も買ってしまった私は、どこでこのルートに入ってしまったのでしょう?

それはさておき今回は国内自作キーボード界では珍しい一体型キーボード、果たして使い心地はどうなのでしょうか?!

(相変わらず下手な煽りですみません。。)

 

 

はじめに

本キーボードのビルドガイドは非常に詳しく書かれていて、引っかかるところもないので本ブログにて細かくビルドログを書く必要はないと判断しました。

(夢中になって組み立ててしまったので写真をあまり撮ってないのもありますが…)

github.comなのでいきなりのレビュー記事ですが、ご了承ください。

 

Treadstone48とは

まーく氏(@marksard)により設計・販売されている最新の一体型40%キーボードです。

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ぱっと見て分かる特徴は文字キーが上下左右で対称になっている部分です。

また、キーボード上部にTRRSジャックを備えており、まーく氏が販売するもう一つのキーボードキット「Rhymestone」をテンキーとして利用することが出来るのが最も大きな特徴です。

※私もRhymestoneも入手しているのですがまだ積んでいて試せていません。
 corneをそのまま繋いでみましたが動かないのでファームウェアに手を入れる必要があるのかな。うーん。

この機構があることにより、テンキーを後付してもPC側に必要なUSB端子は一つだけなのです。

最近のノートPCはUSBの端子を一つか二つしか搭載していないので、これは本当にいい機構だと思います。

USBハブをPCから常にぶら下げるのも美しくないですし、挿すケーブルは少なければ少ないほどいいです。

あ、Bluetoothのテンキーを使えば解決とか言わないで!

既製品のテンキーは大体光らないのでシャレオツではないのです。

また、本キーボードは実寸で印刷できるシート、「KWSK」も作成済みですので、検討中の方はそちらもダウンロードしてみてください。

drive.google.com

 

組み立ての所感

組み立て難易度はかなり低く感じました。

以前ビルドログを書きましたnamecard2x4が組めればスキル的には問題なく組めると思います。

salicylic-acid3.hatenablog.com

難易度の低さの要因は以下にあると思います。

・スルーホールダイオードを採用しているのではんだ付けが簡単

・分割型のようにリバーシブルじゃないので両方右手、両方左手の悲劇は発生しない

・分割型に比べてマイコンやTRRSジャック等の数が半分なので、単純にはんだ付け箇所が少ない

・オプションで付けられるLEDの実装はアンダーグロウ(底面が光る)方式であり、ジャンパー線も必要なくそのまま張り付けてハンダ付けできるのでとても簡単

・オプションで付けられるOLED(左側の液晶画面っぽいやつ)の実装は基板の削り込みがあるので少しだけ難易度が高いが、百均のヤスリで少しだけ慎重にやればOK

組み立てが簡単である理由を5つも挙げましたが、私が自作キーボードを組み立てるのは早くも5つ目です。

初心者と自称出来ないくらい組んでしまっているので、もしかしたらアテにならないかもしれません。

やはり初めて自作キーボードにチャレンジする方はnamecard2x4などの小さいマクロパッドで練習の上、チャレンジすることをおすすめします。 

booth.pm

 

使用感

本キーボードは国内で開発・販売される自作キーボードキットの中では珍しい一体型であり、配列が少々独特であるとはいえ普通のキーボードと使用感が似ています。

しかし一般的にコンパクトであるとされるHHKBの60キーから更に数字列を削った47~48キー構成であり、レイヤー機能を駆使することを前提に考えられている点において、やはり普通のキーボードとは一線を画しています。

実際に使用感を、フォーカスを絞って細部から一つづつ書いていきます。

文字キーのシンメトリーな配列について

普通のキーボードはタイプライターからの系譜により、最上段より下に行くにつれて少しづつ右側にズレています。

しかし、この構成だと押しづらいキーが出てきてしまいます。

例えば左手人差し指の「B」キー、右手人差し指の「Y」キーです。

家にあるRealforceで測ってみたところ、人差し指のホームポジションキーから「B」キーまでは35mm、「Y」キーまでは31mmでした。

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特にBキーまでが遠く、右手で押している方も多いのではないでしょうか

対してTreadstone48では「B」「Y」キーまで各24mmと指の移動距離を22~31%程度削減しています。

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この移動量の削減により、今まで遠いので右手で押していた「B」キーを自然に左手で押すように矯正できます。

文字キーの少なさについて

文字キーは数字行以外にも英語キーボードで比べ3キー分、日本語キーボードでは実に5キー分少なくなります。

具体的には「P」キーから右の2キー、「;」キーから右の1~2キー、「/」キーから右の0~1キーがありません。

とはいえ数字や記号はそれ専用のレイヤを使用して打つようになると思うので、特段大きいデメリットでは無いと感じます。

※どうしても5キーを削減したくなければ、エンターキーやカーソルキーなどを記号キーに置き換えれば入れられます。

モディファイアキー(シフトやコントロールなどの修飾キー)について

モディファイアキーのレイアウトはHHKBなどの既製品英字キーボードに近いのですが、CapsLockが無いことや(HHKBにも無いですが)、スペースキー部分が2つに分割されている点など、やはり細部に違いはあります。

ここで特に言及するべき部分は、エンターキーと分割されたスペースキーです。

エンターキーはHHKBなどの英字キーボードにおいて横長で、小指のホームポジションから38mmの近い場所にあります。(日本語キーボードでは57mmと、もはや大移動といえる距離です。。)

それがTreadstone48では50~66%オフの19mmです。

驚愕の50%オフですよ皆さん!

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物騒な文字が印刷されているのがエンターキーです。よく見ると1キー分近いことがわかります。

次にスペースキーっぽい赤と白の長いキーですが、defaultでは左がバックスペースキー、右がスペースキーとなっています。

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もう恒例になったので測っておきました。

HHKBでは小指のホームポジションから約55mm(実測ではなく概算)、Realforceでは小指のホームポジションから73mmです。

それがTreadstone48では左親指のホームポジションなので0mmです。ついにキタ100%オフ!

というわけで、小さいながらも指の移動距離を短くするために各キーは配置されています。

default配列で見慣れないキー配置はバックスペースキーだけなので、英字キーボードを使用していた人ではほとんど移行コストはかからないと思います。

※ちなみに私は左側の白いキーにエンター、右の赤いキーにスペースを割り当て、右上左のハンマーのキーにバックスペースを、右側のドクロのキーにデリートを割り当てて使用しています。

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左のハンマーのキーにバックスペースを、右側のドクロのキーにデリートを割り当て

以上のことを踏まえた全体の所感

一体型キーボードであるものの左右の手で押すべきキーは明確に分かれており、綺麗な運指の練習になります。

左右の手が入り乱れた運指は普通のキーボードから分割型キーボードへの移行障壁となることが多いのですが、本キーボードならギリギリBとN、RとYを逆の手で押すことが出来るので、移行時のストレスは(分割型に比べて)軽減されます。

また、受話器片手の片手打ちなども分割型に比べて打ちやすいです。

私にとってはCorneのキー配列を基本として各キーを設定しましたので、慣れるまでにあまり時間はかかりませんでした。(具体的には2時間程度)

※Corneと比較すると親指キーが一つ少なくなったように感じます。

気になる点1

2U以上の長さのキーは端を押すとグラつくのでスタビライザーが必要と感じましたが、国内での入手性が問題です。

一応Aliexpressで見つけましたが、まだAliexpressから買ったこと無いので保留中です。

私の他にもAliexpressから購入することに抵抗がある方もいると思うので、国内ショップでも取り扱ってくれればと密かに期待しています。

気になる点2

2点目は気になる点というか、注意する点です。

本キーボードには2箇所だけKailhのキースイッチが使えない(使うとグラグラする)部分があります。

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赤丸部分にはKailhキースイッチを使用しないほうがいいです

これは1U2キー、2U1キー選択のためにプレートに保持力がなく、Kailhのスイッチに足がないためです。

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右上部分の写真。2U1キー、または1U2キーの選択の余地のため、プレートの保持力が少ないのがわかる。

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左がGateron、右がKailhです。Gateronには足が2本あり、これがグラつきを軽減してくれます。

※右上の部分に1U2キーを選択した場合はKailhスイッチでも特にグラつきなく使えます。

気になる点3

外見上のアイコンとなっているのですが、本キーボードはUSBケーブルは左出しのみとなっている事自体です。

私はSurfaceProを使用していますがUSBポートは右側しか無いので、比較的長い距離を這わせる必要があります。

少し長いケーブルを用意してPCの後ろを這わせばいいので難癖レベルなのですが、少しだけ気になります。

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長いケーブルを用意すればいい話だが、若干気になる。

自作キーボード温泉にそこそこ浸かった身としての所感

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自分はまだまだ初心者だと思っていますが、初めてのキーボードでTreadstone48を選ぼうとしている方もいると思うので、私が他のキーボードと使い分けていく中での所感は分けて書きます。

Corneの42キー、Colosseum44の44キーから4~6キーの増ですが、最初の頃は多すぎて持て余している感がありました。

ですが無くていいと思っていた単独のWinキーやAltキー、オプションキーなどがパワポ操作などで地味に便利で、今では有れば有ったほうが嬉しいかな?と思っています。

右下のカーソルキーはカーソルキーレイヤーで満足しているので他の活用方法を検討中でしたが、マウスからの持ち替えのときや、漫然とブラウズしている時は使いやすい気もするので、このままでもいい気もしています。

※私はトラックボール党なのですが、日々の片付けの問題で家ではマウスなのです。

エンターキーも同様に、普段は左親指で押すので右側の長いキーをなにか別のことに使えないか検討していましたが、これはこれで押している時があるのでいいのかもしれません。

つまり、慣れたので特に不満は無いです!(笑)

今では長文を打つ時は疲労感の少ないColosseum44、パッと書き物をしたい場合は設置と撤収の楽なTreadstone48と使い分けています。

 

値段

部品点数が少ないので分割型のキーボードと比べると若干安い値段に収まります。

品目

個数

合計金額

Treadstone48キット

1

10,000

スイッチ用PCBソケット

5

750

ProMicroスプリングピンヘッダ付き

1

1,000

LEDテープ

2

1,000

OELD

1

750

OELD用ソケット

1

30

Kailh Box Red

40

1,600

Kailh Box White

8

320

 合計

 

15,450

※キーキャップは値段差が激しいので含みません。

 

おわりに

好き勝手に所感を書きなぐってしまいましたが、とても気に入っているキーボードです。

値段も比較的お手頃ですし、布教用と持ち運び用にもう1セット買おうか迷ってるところですが、人気が高く即日完売している状況なので当分は自重します。。

 

次回はColosseum44のビルドログ(蛇足編)か、自作ケーブルのビルドログを予定しています。

 

本記事に対して問い合わせ等あれば遠慮なく私のDiscordまでどうぞ。

salicylic-acid3.hatenablog.com

 

この記事はTreadstone48で書きました。